B.C. 紀元前X年 「評価 C」
遥か昔の氷河期。とあるホモ・エレクトスの集団から、額が平らかで体毛が薄い赤ん坊が誕生した。ホモ・サピエンスが地上に初めて出現した瞬間だ。この赤ん坊の子孫は以後、長い旅を経て世界中に分布を広げ、またその過程で多くのものを発見していくことになる。本作は、そんなホモ・サピエンスたちの旅の様子を綴ったオムニバス映画である。
本作において特筆すべきは、何と言ってもエピソードごとに説得力が極端に異なる点である。全てのエピソードは共通して、同一人物によるナレーションで語られており、あたかもドキュメンタリー映画であるような体裁で統一されている。しかしそれぞれのエピソードは、「ホモ・サピエンスの時代にはこんなことがあったかもしれない」という、極めて自由な想像の上で作られている。そのため、「アルプスを越えたホモ・サピエンスの一団がネアンデルタール人と遭遇する」とか、「火を使うことで巨大な獲物を仕留めることができるようになり、余暇が生まれて芸術が誕生した」といった、実際の歴史と照らし合わせても真実味があり、ドキュメンタリータッチで描かれてもまるで違和感のないエピソードがある一方で、「狼に育てられた少年がメソポタミアの社会で人間性を手に入れていく」なんて真実味がまるで感じられず、劇映画として見るしかないエピソードも平然と置かれており、通して見ると何とも奇妙な味わいが感じられたのだ。
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