エイリアン・レイダース    「評価 D」
アリゾナ州の田舎町、バック・レイク。平和だったこの町で或る晩、スーパーマーケットに謎の武装集団が押し入り、店員や客たちを人質にとって籠城する事件が発生した。武装集団は抵抗する人間を容赦なく殺害していき、店員のベニーらはただ怯えるばかり。しかし、本当の恐怖はここからだった。武装集団に殺された人間が醜い姿となって甦り、店内の人間を無差別に襲い始めたのだ。実はこの店には人体に寄生する凶悪なエイリアンが迷い込んでおり、その始末こそが武装集団の目的だったのである…。
スーパーマーケットを舞台に武装集団と寄生エイリアンが死闘を繰り広げるSFバイオレンス映画。本作のエイリアンに寄生された人間は、通常時は外見に変化が無いのだが、一度肉体の主導権がエイリアンに移ってしまうと、顔が醜くただれ、周囲の空間を震わせる奇声を放ちながら高速であちこち跳ねまわるという、極めて印象的なモンスターへと豹変する。そして人間の体から引きずり出されたエイリアン本体もまた、脳ミソと脊髄だけで体が構成されているという「顔のない悪魔」を彷彿とさせる姿をしており、こちらもインパクト抜群。ことモンスターの魅力に関しては、十分すぎる味わいをもった作品だった。
ただし本作の脚本は、そんな魅力あふれるモンスターを活かしきれているとは言えなかった。ストーリーの主軸はエイリアンとの闘争よりもむしろ、武装集団とスーパーマーケットを包囲する警官隊とのいざこざの方に置かれており、エイリアンの存在を警官隊に隠すことにこだわり続ける武装集団の姿に終始やきもきさせられるのだ。「スーパーマーケットを占拠」という要素が、作品全体の巨大な足枷となっているように思えてならない作品だった。
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