パラサイトX            「評価 D」
小学校6年生のカールは、母親が交通事故で死んだショックから立ち直れず、欝々とした日々を送っていた。そんなある日のこと、彼のクラスの担任が急病で仕事を休むこととなり、その代理として文部省からウーラ先生が派遣されてきた。ところがこのウーラ先生、頭脳明晰でスポーツも万能だが、言うこと為すことがいちいちエキセントリック。しかもカールはPTA会合の晩、ウーラ先生が超能力を使い、金属の球体から文部大臣の偽物を作り出しているのを目撃してしまった。ウーラ先生はただの人間ではない。それを知ったカールは、クラスメイトたちと協力し、彼女の正体を暴こうとするが…。
「これは愛を求める物語である」という人を食ったナレーションで始まる、謎の鬼教師と子供たちとの戦いを描いたSFモンスター映画。前半は非常に面白いのに、まとめの段階になると急に展開が陳腐になるという、尻すぼみの典型例のような作品だった。
本作の前半部分は、これからの展開を期待させる要素に満ち溢れていた。巨大な敵に子供たちが団結して立ち向かうというシチュエーションは、それだけで十分に心躍るものがあるし、本作に出てくるクラスメイトたちはなかなかの個性派揃い。これからどのような活躍を見せてくれるか、否が応にも期待が高まってしまう。また、カールと転校生との関係や、ウーラ先生の持っていた写真の意味など、伏線と思える要素も適度に散りばめられており、観ているうちにストーリーへの興味はぐいぐいと引き寄せられていくのだ。
だが後半、クラスのみんながウーラ先生とパリに旅行に出かける辺りから、急に映画の内容がおかしくなってくる。唐突な場面転換、前振りもなく登場する婦人警官、大した伏線もなく判明するウーラ先生の弱点──と、いきなりストーリー展開が投げやりになる上、それまで張られてきた伏線は次々と蚊帳の外に放り出されていき、半ば強引気味に映画は終了してしまうのだ。前半の期待が大きかった分、この落差による失望感は相当なものだ。特にあれだけ個性を放っていたクラスメイトたちが、いざという時にろくな活躍を見せず、結局ウーラ先生に立ち向かうのがカール1人だけだったのには至極ガッカリさせられた。本作を観る時は、過度な期待は禁物である。
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