悪魔のえじき サードバイブレーション  「評価 C」
ラブホテルの営業会社に勤める佐伯は、上司や同僚からのセクハラに耐え続ける毎日を送っていた。だがある晩、職場で彼らにレイプされたことがきっかけとなり、彼女の怒りが爆発。同僚たちを薄暗い地下室に監禁すると、ナイフを手に彼らの処刑を開始した。身動きがとれず、成す術もなく惨殺されていく同僚たち。そんな中で佐伯は、母親が暴漢にレイプされた挙句に惨殺されたという昔話を語り出すが…。
「悪魔のえじき2」を配給したJVDが自社製作した、和製エロスプラッター映画。いきなりTバックの尻がアップで写し出されるという「タモリ倶楽部」ばりのオープニングが象徴するように、本作は「悪魔のえじき」の名を冠しているにもかかわらず、観ていて物凄くほのぼのとした気持ちにさせられる脱力系映画だった。
まず本作、殺害シーンが驚くほどに単調だ。都合5回の殺害シーンが用意されているにもかかわらず、殺害手段はどれも「ナイフで刺殺」。しかも本作で使われているナイフは玩具屋で500円ぐらいで売っているプラスチック製のジョークナイフ(刺そうとしたら刃が引っ込むやつ)で、それを何のためらいもなしに大写しにして殺害描写を演出しているものだから、復讐のカタルシス以前に失笑がこぼれてしょうがなかった。一応本家「悪魔のえじき」に敬意を払ってか、切断したペニスを弄ぶ描写もあるのだが、ここで出てくる切断されたペニスは模型というか何というか、どう見ても大人のオモチャのそれであり、グロテスクさがまるで感じられず心安らかな気持ちにさせてくれた。
そして本作、ストーリーの方も同様に腑抜けている。せっかく中盤まで「レイプされた女の復讐譚」として筋の通った話を展開させていたのに、終盤で明かされる驚きの真実によって、それまでの積み重ねが完全に台無しになっているのだ。しかもこのどんでん返しで唖然となっていると、作品は間髪を入れずに「死んだ皆さんの座談会」という、実に間抜けなエンディング映像に突入してしまう。
エロシーンに関しては、軽いセクハラから、レズプレイ、レイプ、自慰、死姦となかなかバリエーションに富んでおり、主演女優もまずまずの容姿なので、エロス目当てで観るなら問題ないだろう。だがそれ以外の要素がこんな有様なため、本家「悪魔のえじき」のような復讐のカタルシスは間違っても求めてはいけない作品である。
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