アルマゲドン2008 「評価 C」
巨大な彗星が大西洋に落下し、巻き起こった津波はアイルランドに壊滅的な被害をもたらした。天体物理学者のニールがこの彗星の軌道を調べたところ、別の巨大彗星が一年後に襲来し、今度は北米大陸に大規模な被害をもたらすことが明らかになった。それを知った米軍は核爆弾を用いて彗星を破壊しようと主張したが、彗星は隕石よりも脆いため、下手に爆破したら大きな複数の破片が地球各地に降り注ぎ、かえって被害が増す危険があった。そこでニールは、彗星が衝突する前に北米大陸から全ての人々を避難させるという、途方もない計画を立案したのである…。
「地球最后の日」のように別惑星に移住するわけでもない、「メテオ」「アルマゲドン」のように隕石を爆破するわけでもない、「妖星ゴラス」のように地球を動かして天体をかわすわけでもない、彗星の衝突地点から住民を避難させるという、今まで有りそうでなかったアプローチによる天体パニック映画。物語は彗星を発見した科学者ニールの視点で綴られ、複数の天体写真に見られる差異から彗星を見つけ出し、彗星の軌道や組成を調べ、核爆発の使用は危険という結論を導き出す──という流れが、幾つもの会議を挟んで物凄く丁寧に描写されていく。このように、パニックに陥る民衆の姿を必要最小限しか描かず、徹頭徹尾専門家目線でストーリーを進行させるのもまた、パニック映画としては異例のことだ。それが観ていて面白いかどうかは別として、本作は新しいことをやろうという製作側の意欲は存分に感じさせてくれる作品だった。
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