悪魔の毒々バーガー 〜添加物100%〜 「評価 B」
元ロッカーの医者ジェイソンは、娘エイミーとその彼氏ブレイク、そして再婚相手のモニカを連れだって、祭りでにぎわう田舎町へとやってきた。ジェイソンはこの機会にエイミーとモニカが仲良くなってくれればと考えていたが、エイミーはモニカのいけてない趣味に馴染めず不貞腐れていた。そんな状態で四人は、町のレストランで食事をとることにした。この店のハンバーガーは地元産オーガニックビーフを使っているということで期待する一行だったが、近くの席でハンバーガーを食べた客たちが突然苦しみだした。やがて彼らは凶暴なゾンビとなり、他の客たちに襲いかかる。ゾンビに襲われた人間もまたゾンビとなり、たちまち町はゾンビで溢れ返ってしまった。実はこの店に肉を提供しているクリークサイド農場では、狂牛病対策として怪しげなホルモン薬を牛たちに投与していた。そのせいで牛肉に未知のウイルスが生じ、食べた人間をゾンビに変えていたのである。ジェイソンたちはゾンビから逃げ回りながらこの事実を突き止め、全ての元凶であるクリークサイド農場へと向かうが…。
この映画は邦題に「悪魔の毒々〜」と付いてるが、「悪魔の毒々ゾンビーズ」や「悪魔の毒々パーティ」同様、トロマ社とは一切関係がない。とは言え作品の内容はトロマの馬鹿馬鹿しいノリを彷彿とさせるようなイカれたものであり、つくづく的確な邦題だなあと感嘆せずにはいられなかった。ゾンビとの血みどろの争いの合間合間に繰り出される、脱力系ギャグの数々。「携帯電話がない」とエミリーが騒いでいると、ドアの隙間から手を伸ばしてきたゾンビの手にはエイミーの携帯電話が握られている。ゾンビに跳ね飛ばされた首が、記念撮影用の顔抜き看板の顔の部分にスッポリ収まる。ゾンビの包囲網を突破すべく、ゾンビたちに観光土産をプレゼントしてやりすごす。ウイルスによって自我に目覚め、ハンバーグが人間たちに無差別に襲いかかる。ジェイソンが長々と思い出話をしている背後で、エイミーがゾンビと格闘戦を繰り広げている──などなど、どのギャグも非常にゆるい雰囲気が漂っており、それと過激なスプラッター描写とのギャップは、まさにトロマ映画そのものだ。ジェイソンの元ロッカー設定が大して活かされていなかったり、農場に着いてからの盛り上げに乏しかったりと不満は散見するものの、トロマ映画の1ファンとしては堪らないものがある映画だった。
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