ソーラー・ストライク サード・インパクト   「評価 D」
ドイツのルール地方では気候変動により、異常な気温上昇が続いていた。そんな中で水管理研究所のフェヒナー博士は、やがて国中が深刻な水不足になることを予測し、十分な水の確保を政府に訴えた。すると政府は緊急対策本部を設置し、彼女を責任者に任命してくれた。フェヒナーは早速市内の貯水池へ赴き、発電所に回している水を減らして節水するように呼び掛ける。しかし貯水池の管理側は発電所の所長ツァンダーと懇意にしており、なかなかそれを了承してくれなかった。その間にもライン川の水は干上がり、高気圧によって光化学スモッグが発生し、ルール地方の病院は患者で溢れ返る。この事態を重く見たフェヒナーは、強制的に貯水池の水を取り押さえ、市内の水の使用を制限することにした。ところが節水を始めたことによって町中の飲食業が成り立たなくなり、市民はかえってフェヒナーを糾弾する始末。そこで政府は非難を回避するためにフェヒナーを解任し、貯水池の水を開放することを決めた。貯水池の水が市内に行きわたり、歓喜する市民たち。だが実は、貯水池の水は発電所の冷却に使った水を入れ直したものだった。そのため貯水池の水には大量のレジオネラ菌がいることが明らかになり、フェヒナーは水が市内に行きわたるのを何とか阻止しようとするが…。
科学者が水不足対策に奔走する姿を描いた、「ソーラー・ストライク」および「〜セカンド・メルトダウン」とは何の関係もない内容のドイツ映画。川が干上がったり海の魚が死滅したりといった災害描写は一応盛り込まれているものの、これらはあくまでオマケ程度に留められており、本作の話のメインはあくまで科学者と政府との水面下での戦いである。よって前二作のようなパニック的な要素を期待していると大いに肩透かしを食らうだろう。
かと言って本作、ポリティカルドラマとして見ても大して面白くないのが困りもの。本作は水の確保をめぐる話と並行して、フェヒナーが既婚者と不倫してしまう話が綴られるのだが、主人公が正義を貫く話とドロドロした不倫話とが馴染むはずもなく、完全に空中分解を起こしてしまっているのだ。水を管理しようと呼び掛けるフェヒナーを「まるで全体主義じゃないか」と拒絶する政府の姿からはドイツのお国柄が垣間見えて面白かったが、全体的にどうにもパッとしない映画だった。
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