グリズリー・パーク 「評価 B」
アメリカの雄大な自然に囲まれたグリズリー公園では、非行で補導された少年少女を更生させるため、一週間公園内を歩き回ってゴミ拾いをさせるというプログラムが実施されていた。今回も森林警備隊員のボブらのもとに、ビビたち8名の問題児が送られてくる。だが彼らはボブの指導にも従わず、好き勝手な行動ばかりとって、まるで更生の気配がなかった。一方、少し離れた場所では逃亡中の連続殺人犯が警備隊員に扮して公園内に潜伏していた。しかし公園内に棲息していた巨大熊が、彼の体から漂う血の匂いを察知し、彼を無残にも喰い殺してしまった。やがて熊の魔手は若者たちにも及び、生意気な悪ガキたちが次々と凄惨な殺され方をしていった…。
「グリズリー・レイジ」「グリズリー・プラネット」と、最近異様なハイペースで作られているクマ映画の第三弾。本作ははっきり言って、中盤までは非常に退屈な出来である。映画前半のハイライトである殺人犯や悪ガキたちの一部が熊や狼に殺される場面は、人間が襲われる様子が明確に映されず、ただ動物たちが去った後に体のパーツが転がっている、といった描かれ方しかされていない。またそれと並行して綴られる悪ガキたちの様子は、悪ガキたちが「ビビの胸はシリコンか否か」なんて話題について延々と会話するだけなので、観ていてもまるで面白みが感じられないのだ。しかし本作はラスト10分になって一転、怒涛の盛り上がりを見せてくれた。熊がいよいよ悪ガキたちのキャンプを襲撃して殺戮ショウを繰り広げるのだが、これが以前までのぬるい殺害描写が嘘だったかのような、えぐい場面のオンパレード。後ろから爪を振り下ろされて頭の上半分が無くなる、下半身が食われて内臓モロ出しになる、引っぱられそうな男の腕を掴んでいたら腕が骨ごとすっぽ抜ける──など、悪ガキたちは誰も彼も一様に素敵な死に姿を見せてくれ、寸前までのダルい雰囲気をいっぺんに吹き飛ばしてくれたのである。また悪ガキの1人が殺されそうになっている中、ドサクサにまぎれてビビの胸を掴み、シリコンが詰まっているかを確認するというナイスなスケベ根性を見せてくれたのも忘れ難い。更に最後の最後には驚愕のどんでん返しまで控えており、この終盤の密度の濃さにはただただ圧倒されるばかりだった。幾つか取りこぼしている伏線があるせいでラストのオチが今一つ釈然としなかったのは残念だが、ここ数年の間にリリースされた熊映画群の中では間違いなく一番の出来である。
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