烏          「評価 C」
広大な畑が広がる田舎町。ウェイン保安官は、農場の家畜たちが大量死した事件の調査にあたっていた。その結果、巨大なワタリガラスたちが何らかの原因によって凶暴化し、家畜たちを襲っていたことが判明する。ワタリガラスたちはやがて人間をも襲い始め、平和な町はたちまち惨劇の場と化してしまった。ウェインは生き残った人々を集め、カラスの襲撃をかわしながらガソリンスタンドへと避難する。しかしカラスたちは大群を形成し、幾重にもガソリンスタンドへ襲撃をかけてくる。果たしてウェインたちに生き残る道はあるのか…。
「アンダー・ザ・プラネット」「ファイナルストーム」のトム・ベリー監督によるバードパニック映画。タイトルが「鳥」ではなく「烏」なのに注意。本作のカラスたちはクチバシで突いてくるのみならず、足で掴み上げた石を投げつけてバスの窓を割ったり、ガソリンスタンド周辺の電球を割って相手を追い込んだりと、かなりの狡賢さを見せてくれたのが好印象。座ったまま死んでいる人間の頭をついばむなんて嫌らしい描写も盛り込まれており、ことカラスについては十分に満足のいく作品だった。
しかし一方で、パニック映画としては些か不満点も見受けられた。カラスが本格的に暴れだす前の展開が冗長気味で、観ている側のテンションがすっかり低下したのはいただけない。また映画の中盤、市街地のど真ん中でカラスの大群が暴れるという大きな見せ場になりそうな場面があるのだが、つい数分前まで町は人が沢山いたのに、カラスが出現した途端、急に町は主人公達しかいないゴーストタウンとなってしまったのはどういうことだろうか。「逃げ回る住民達の地獄絵図」というパニック映画の醍醐味が失われており、大きく拍子抜けさせられた。
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