紀元前1億年        「評価 D」
ロスアンゼルスの海軍研究所に、8名の兵士たちが召集された。老科学者リノ博士は彼らに、驚くべき軍の秘密を告げる。今から50年以上前、軍ではタイムマシンの実験が行われ、21名もの兵士が7000万年前の世界へと飛んでいった。だがその頃の装置は転送処理に不具合があり、彼らは太古の地球に置き去りにされてしまったのだ。だが現在、転送装置の不具合は大分解消され、太古の地球に行って帰ってくることも不可能ではなくなった。そこで招集された兵士たちには、改良したタイムマシンを使って7000万年前に飛び、21名の兵士を救い出すという、前代未聞のミッションが与えられたのである。早速兵士たちとリノ博士はタイムマシンを使い、7000万年前の地球へと移動する。毒液を吐く植物や人食いワニ、凶暴な肉食竜ビッグ・レッドとの交戦を経て、彼らは何とか過去の兵士たちと合流し、現代に戻ることになった。しかしタイムマシンを起動させたところ、一行を追っていたビッグ・レッドも時間移動をし、現代のロスアンゼルスにやってきてしまった。研究所を飛び出し、市街地を蹂躙するビッグ・レッド。50年前の兵士たちは、現代の半分の酸素濃度だった7000万年前の地球にしばらく滞在していたことで手に入れた驚異的な身体能力を駆使し、ビッグ・レッドとの対決を試みる。だがビッグ・レッドの強さは彼らの想像を遥かに上回っており、次第に追い詰められていく。いよいよ敗北かという時、彼らの前に意外な助っ人が現れた…。
「トランスモーファー 人類最終戦争」のデヴィッド・マイケル・ラット製作による、時間移動系SFアクション映画。「トランスモーファー」で見られた低クオリティな映像は本作でも健在で、CGで描かれた恐竜たちが質感に乏しいのは当たり前。人食いワニは模型だし、銃口が明らかに火を吹いていないのに発砲音だけ鳴り続けるカットがかなりあるし、恐竜と闘う場面では人間側ばかり映して恐竜の出番を節約しているし、ロスアンゼルスに恐竜が出ても逃げ惑う人の姿は一切なく、車や自転車が何事もないかのように走っているときた。特に模型のワニは全く動けないものだから、それを何とか動いているように見せようと、水しぶきと細かいカット割りで誤魔化していたのが涙を誘った。
また本作、演出と脚本も同様に酷い。全般的に演出が間延びしていて、戦闘シーンだというのに緊迫感が感じられない。兵士たちは迂闊な行動でバタバタと殺されていって、見ていて実に残念な気持ちになってくる。「酸素の薄い地球に滞在したことで超人的な力を手に入れた兵士たち」が恐竜相手に何をするのかと思えば、ただロスアンゼルスを逃げ回って恐竜をおびき寄せるだけで拍子抜けさせられる。「現代の歴史に影響が出ないように」とタイムスリップ先を7000万年前に設定したはずなのに、クライマックスでその話が完全に忘れられている。何とも物悲しい出来の作品だった。
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