レッド・ウォール          「評価 C」
イエローストーン国立公園に、森林火災の専門家ハーディング博士がやってきた。この公園ではここ数年、ハーディングが行っていた指示により、消防隊を使わずに自然鎮火させる方針をとっていた。しかしここしばらくの気候変動によって、自然鎮火を待っていると大規模な火災に繋がってしまうおそれがでてきた。そこでハーディングは、消防隊に早期消火してもらうよう努めてほしいと知らせに来たのである。しかし消防隊は、彼を邪魔者扱いしてなかなか言うことを聞いてくれない。かつて彼の提言によって、消防隊の仕事が減ってしまったからである。更に土地の責任者であるクラークは、独立記念日に内務長官が公園に来るということで、必死に火災の危険性を隠そうとする。だがそうこうしている間に、公園の各地で発生した火災が合流し、空前絶後の大火災を形成していった…。
1988年に実際に起こった大火災をモデルに制作された、「合衆国壊滅」シリーズのジョン・ラフィア監督による森林火災映画。「合衆国壊滅」シリーズでスペクタクル感溢れる災害描写を存分に見せてくれた監督ではあるが、本作は実話を基にしているためか、はたまた予算の都合か、災害描写は大人しめ。パニック映画らしい見どころと言ったら、火に囲まれた消防隊が防火シートに隠れて耐えしのぐ場面と、市街地に迫る炎を迎え火で消す場面ぐらいのもので、ディザスター的な要素を期待していると物足りなく感じられてしまう。
しかし本作、実話であることを利用して、ニュース映像を効果的に使っていたのは評価できた。「ニュース映像の利用」と言うと、低予算パニック映画において災害描写を盛り込むために用いる苦肉の策というイメージが強いが、本作ではそれだけでなく、火災を取り巻く状況の移り変わりや、各地の消防隊が集結してくる様子などがニュース映像で説明され、実話ならではのスケール感を醸し出すことに成功していたのである。
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