デッド・オア・ウェイブ 「評価 D」
モスクワサミットが数ヵ月後に控えている頃、地震学の権威であるハリトノフ教授が謎の事故によって死亡した。その直後、本来地震が起きるはずのないロシア南部のサンジュト市で大規模な地震が発生する。報せを受けたハリトノフの教え子セルゲイは、かつて教授が考案したものの自ら闇に葬った“人工地震の公式”を何者かが悪用しているのではないかと考えた。そしてセルゲイはシンポジウムに出席するため、久方ぶりに祖国ロシアへと戻ってきた。だがそこで彼は、ヘンリッヒなる男から重大な秘密を教えられる。退役軍人のレフ率いるテロ組織が、近々開かれるモスクワサミットの場で人工的に地震を発生させ、首脳たちを皆殺しにしようと企んでいるというのだ。計画を阻止するため、人工地震の公式を再び完成させるよう依頼されるセルゲイだったが、実はこの依頼には思わぬ裏が潜んでいた…。
人工地震の技術を巡る陰謀劇を綴った、ロシア産のパニック・サスペンス映画。一応地震映画ではあるのだが、冤罪をかけられる主人公、敵組織に通じていた主人公の親友が最終的に組織を裏切る、人工地震により津波が発生して大惨事になる、と妙に「クラッシャー 大津波」と被る部分が多いように感じられた。「壊滅大津波」といい本作と言い、世界では空前の「クラッシャー 大津波」ブームでも起こっているのだろうか。
それはともかくとして本作、ロシアというお国柄なのか、緊迫するはずの場面で長閑な音楽が流れてほのぼのとさせられたり、刑事が死ぬ場面で叙情的な演出がされていたりと、どうにも調子が狂うような演出が数多く見受けられた。かと言ってその外し具合はシュールの域には至っておらず、ただただ作品進行を乱しているだけなのは辛い。サスペンスとしてもパニックとしても、あまり楽しめない作品だった。
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