ディセントX 「評価 C」
南アフリカの農村ムプマランガ。ここでは94年から現在にかけて1000人以上もの人間が、謎の怪物の手によって惨殺されているという。そこでUMA専門の科学者カーリンは、助手たちを率いて現地へと赴き、農場を経営しているダンとスーザンの兄妹と共に怪物の正体を追うことにした。だが調査を行っている間にも、怪物による犠牲者は増えていく。やがて一行は、町はずれの洞窟にパイプを通して水を汲み出すようになってから怪物が出現するようになったことを突き止め、怪物を退治するために洞窟へと向かった…。
「デス・サファリ サバンナの悪夢」のダレル・ジェームズ・ルート監督によるモンスターパニック映画。怪物が洞窟を根城にしているために「ディセント」っぽい邦題になっているものの、洞窟は中盤とクライマックスに僅かに出てくるのみで、物語は主に地上で進行する。また本作の怪物は「ディセント」の全身ツルツルな地底人とは違って毛むくじゃらの獣人チックな外見をしており、この点でもあまり「ディセント」らしさは感じられなかった(でもDVDパッケージでは「ディセント」っぽい地底人が描かれているのは困りもの)。
そんな本作の見どころは、何と言っても「10数年で1000人以上殺した」という怪物の凶暴さに尽きるだろう。怪物はどんな怪我もすぐに回復してしまう高い治癒能力を持っているので、傷つくことを全く恐れずに襲いかかってくる。そのためたとえ銃を手にしていてもまるで歯が立たず、登場人物たちは次々と怪物の餌食にされていくのだ。しかしそれほど残虐な怪物でありながら、本作では怪物に襲われることが死亡に直結しておらず、最終的な生存者が随分と多かったのは意表を突いていて面白かった。また、「話せば分かる」と怪物とのコンタクトを試みた博士が次の瞬間には内臓チラリな目に遭っている──なんてモンスター映画好きの心をくすぐるネタが用意されているのも嬉しいところ。住民たちから殺人の嫌疑をかけられていた元地主のピートが早々に退場したり、ダンの所属する自警団があまりにも活躍しなかったりと、ストーリーの盛り上げには乏しいのだが、まずまず楽しめる作品だった。
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