エイリアン・ライジング      「評価 C」
田舎町ハット・フリークを通る唯一つの道路が、タンクローリーの横転事故によって封鎖された。そのため道路を進んでいたドライバーたちは、町のガソリンスタンドで足止めさせられることになった。一方、保安官のアニーは事故の現場から、何らかの生物の肉片を発見した。そこで学者のノディンに見せてみたところ、その細胞には地上のあらゆる生物のDNAが組み込まれていることが判明した。この肉片の持ち主と横転事故との関連性を疑うアニー。するとその頃から、町では家畜や人間が謎の生物に襲われる事件が続発するようになった。実は900年前、地球の生物のDNAを採取するためにエイリアンがこの地へと来訪していたが、当時周辺を支配していたアナサジ族の手によって長らく封印されていた。それが現代になって目覚め、活動を再開したのである。エイリアンはやがてガソリンスタンドに姿を現し、アニーや旅行者たちに襲いかかる…。
ここ数年、DVD発売されたSFモンスター映画の邦題のワンパターン化が著しい。「エイリアン」「プレデター」「スピーシーズ」「トレマーズ」といった著名なモンスター映画のタイトルに、「〜X」「〜ビギンズ」「〜ビギニング」「〜ライジング」といった接尾語を付けた邦題の、何と多きことか。少し前までは「まあ、昔も『エイリアン・プレデター』とか『エイリアン・ゾンビ』とかあったし」と笑って済ませることができたが、さすがにここまで数が増えてくると、「未見だと思って借りてみたら既に観た映画だった」なんて間抜けな事態が起こり、観る側としても非常に都合が悪い。SFモンスター映画好きの1人として、そろそろ配給会社がこのワンパターン路線から脱却してくれることを切に願う。
さて、そんなワンパターンな邦題を付けられた本作は、田舎町に現れたエイリアンが人々を襲うという、モンスター映画の定石通りの内容だ。主役であるエイリアンは、本家「エイリアン」が過酷な減量に挑んだような外見をしており、口から伸びる針や長い爪で獲物を殺した後、腹から放たれる蜘蛛のような生物を死体に巣食わせてDNAを採取する──といったスマートな手口が特徴的。死体の中を宇宙蜘蛛が蠢いている様子のグロテスクさは相当なものだったし、モンスターとしてなかなかの魅力を持っていた。ただし退治方法が一捻りしたものになっているのだが、あまりに説明不足すぎるために「何でそうする必要があるの?」と首をかしげずにはいられなかった。またエイリアンとの対決が夜に行われるため、画面が暗くて何が起こっているのか分からないカットが多いのも難点。エイリアンの設定は良いのだが、脚本や演出が足を引っ張っている作品だった。
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