最後の海底巨獣 ダサイナザウルス! 「評価 C」
カリブ海に浮かぶ孤島では、新しい港を建設するための爆破工事が行われていた。しかし作業の途中、海底から氷漬けになったティラノサウルスとブロントサウルス、そして原始人が発見される。工事に携わっていたバートたちは恐竜たちを海底から引き上げるが、その日の晩、島を嵐が襲い、激しい落雷の影響で二頭の恐竜と原始人が現代に復活を遂げてしまった。凶暴なティラノサウルスは住民たちを襲い、たちまち島は大パニックに。しかしそんな中、島に住んでいる少年フリオは、偶然遭遇したブロントサウルスや原始人と仲良くなり、楽しい一時を過ごしていた。すぐそこにティラノサウルスが接近していることに気付かずに…。
「4Dマンの恐怖 怪談壁抜け男」「マックィーンの絶対の危機」のアーヴィン・ショーテス・イヤワース・Jr監督による恐竜映画。文明を持たない人間が現代社会に現れ、現代の人々と交流するという「ターザン」的要素と、太古の世界からやってきた肉食恐竜が現代社会を恐怖に陥れるという25年版「ロストワールド」的要素を組み合わせたようなコンセプトだ。だが異文化交流モノとして見れば原始人の最期がアッサリしすぎていて軽い印象を受け、恐竜モノとして見ればテンポの悪さが気になり、今一つ楽しむことができない。色々な要素を盛り込んだはいいが、それらをうまくまとめる手腕が脚本家に無かったために、全体的にどっちつかずな内容になっていたのである。更に特撮に関しても、ストップモーションアニメで動く恐竜たちは時折ありえない関節の曲がり方を見せる他、フリオがブロントサウルスに話しかけるシーンではフリオの視線の向きとブロントサウルスの位置が合ってないなど、粗雑な点が目立っていた。
しかし本作、全体として見れば残念な出来だが、細部では見るべき箇所が多いのもまた事実だ。少年と原始人や恐竜との交流はコミカルな演出でほのぼのとさせられるし、足に刺さった斧を気にするティラノサウルスの仕草も味わい深い。また島の住民たちや定期船の乗客など、出番が僅かしかない登場人物たちが、随分と粋な掛け合いを見せ、強烈な印象を残してくれるのも見逃せない。本作はこれらの要素のおかげで、憎むに憎めない、愛すべき駄目映画となっていたのである。
TOP PAGE