エイリアン・コレクター         「評価 D」
ケーブルテレビ局のキャスターであるリサは、ラジオ局で行われている66時間生放送の取材に来たところ、空から怪しい光が落ちていくのを目撃した。リサはUFOがやってきたと思って驚くが、すぐ隣にいたラジオ局のDJダンは、光を見ていなかったどころか、UFOを見たと言う彼女のことを番組の中で馬鹿にする。それに怒ったリサは、光の落ちた場所と思われる町外れの変電所へと向かった。すると現場では、苔のような謎の物体に纏わりつかれた職員が横たわっていた。果たしてここで何が起こったのか。一方その頃、ラジオ局ではとんでもない事件が発生していた。ダンたちが放送を行っていたスタジオに、分厚い宇宙服を着こんだエイリアンとお供のロボットが乱入してきたのである。エイリアンたちは苔のような物体を放ってスタジオの入り口を封鎖すると、スタジオの機器に怪しげな装置を組み込んでいく。ダンはこの異変をラジオで呼び掛けるが、リスナーたちはみんなダンのパフォーマンスだと思って真に受けてくれなかった。そうこうしている間にエイリアンたちは装置の準備を終え、恐るべき計画を発動させた。彼らはラジオを聴いていた美少女たちをミニチュア化し、スタジオに転送することで自らのコレクションに加えていったのである。美少女たちが次々と消えていき、ただでさえ娯楽の少ない田舎町は大パニックに陥る。そんな中、リサは事件の進行とダンの実況がリンクしていることに気づき、謎の物体によって封鎖されたラジオ局へと向かった…。
「宇宙戦争」のラジオドラマが巻き起こした騒動をモチーフにしたと思われる、チャールズ・バンド製作総指揮のポンコツSF映画。登場するエイリアンは普段は岩のようなヘルメットと宇宙服を着ているが、それが脱げると、カメレオンのような頭に長い首、そして食虫植物のような2本の長い腕をもった、何とも形容しがたい本来の姿を現す。ビニールで作られたようなシナシナの首と両腕をふらつかせている様子はそれだけでも十分に哀愁を誘うが、おまけに宇宙服を着ていないと一歩も動くことができないらしく、身動きを取れずにダンたちのリンチに遭う姿はもっと悲惨だった。いや、本作が悲惨なのは、何もエイリアンに限ったことではない。特に盛り上がるところがなくタラタラと進む話や、理解に苦しむギャグ、美少女がセクシーダンスを踊りながらエイリアンに誘拐されるという謎の演出など、ありとあらゆる部分が腑抜けており、観ていて魂が抜けていくような感覚を味わい通しなのである。過激な要素を排除したトロマ映画と言った感じの、まことに驚嘆すべき映画だった。
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