バーニング 「評価 B」
ある夏、湖畔のブラックフットキャンプ場に来ていたトッドら悪ガキグループは、いけすかない管理人の大男バンボロを懲らしめるため、彼のロッジに些細なイタズラを仕掛けた。ところがそのイタズラが原因でバンボロは全身に大火傷を負い、ブラックフットキャンプ場は閉鎖されてしまった。それから五年後、付近のキャンプ場の管理人になったトッドは、訪れる若者たちと共に楽しい日々を過ごしていた。そんな中、トッドたちはカヌーに乗り、湖に浮かぶ島で野営をすることにした。だが翌朝になるとカヌーは1つ残らず無くなっており、彼らは島に閉じ込められてしまう。何とかキャンプ場に戻ろうとするトッドたちだったが、そんな彼らを狙う怪しい男がいた。病院から帰ってきたバンボロが、巨大なハサミを携え、忌々しい悪ガキどもを皆殺しにしようと目論んでいたのである…。
「全米27州で上映中止!」なんて“嘘・大げさ・紛らわしい”キャッチコピーや、悲鳴で声帯か鼓膜を損傷した場合に保険が降りる「絶叫保険」など、上映当時に東宝東和が行ったセンセーショナルな宣伝が未だ語り草になっているスラッシャーホラー映画。キャンプ場で性を開放するおバカな若者たちを醜い素顔の殺人鬼が惨殺する──といったコンセプトはまんま「13金」シリーズのそれであり、亜流作品としての性質が物凄く濃い本作だが、ことショック描写への拘りについては本家「13金」を凌ぐものが感じられた。
本作のバンボロが使用する凶器は、基本的に剪定バサミのみ。しかし同じハサミを使った殺害でも、胸に刺したり、指を落としたり、首を貫いたり、腕に刺したり、とハサミの用途を最大限に活用して非常にバリエーション豊かな殺害を見せてくれるのだ。しかも本作は特殊メイクに「13金」同様トム・サヴィーニを起用しているので、殺害カットの凄惨さはもちろん大したもの。また殺害場面の合間にハサミを構えるバンボロのカットを挟むことによって、本家ジェイソンとは異なるバンボロのキャラクターを確立させていたのも印象深いところだ。そして醜い顔の殺人鬼が出てくる映画にとって最大の肝と言えるのが“殺人鬼の素顔が明らかになるカット”だが、本作は因縁のトッドと初めて対峙する一番いいところでバンボロの醜い顔を明らかにしており、この点についても抜かりがなかった。バンボロがキャンプ場で殺害を始めるのが映画後半に入ってからで、それまでの部分が妙にダラダラしていたのは残念だが、総じて見れば佳作と呼べる作品である。
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