ガバリン          「評価 B」
売れっ子作家のロジャー・コッブは、失意に沈んでいた。ある日息子ジミーが突然行方不明になり、そのことを妻に責められて離婚していたのである。そんな彼のもとに、叔母が死んだという報せが舞い込んできた。ロジャーは叔母の屋敷を相続することになり、屋敷に移り住んで新作の執筆にとりかかることにした。ベトナムで兵役についていた頃の出来事を回顧しながら、執筆作業に没頭するロジャー。ところがその矢先、彼は叔母の幽霊に遭遇し、屋敷から出るようにと警告を受ける。そしてそれを発端に、家では様々な怪現象が起こるようになったのだ。押入れから醜悪なモンスターが現れたり、カジキの剥製が暴れ出したり、スコップや鎌が飛んできたり……。これらの現象に果敢に立ち向かっていくロジャーだったが、そんな中で彼はふとジミーが助けを求める声を耳にする。ジミーは屋敷の悪霊に捕えられている。そう確信したロジャーは、悪霊たちが跋扈する異世界へと飛び込んだ…。
御存知、「13日の金曜日」のショーン・S・カニンガム製作によるコミカルホラーシリーズの一本目。ロジャーの忌まわしい過去が悪霊となって現在の彼を苦しめる──という辛気臭いストーリーではあるものの、ロジャーのオーバー気味の演技や個性豊かな隣人たちとのドタバタ、そしてユーモラスな悪霊たちによって話の重さを程良く緩和し、気楽に見られる一品に仕立て上げている製作者のバランス感覚は見事と言う他ない。特に本作に登場する悪霊たちは、バラバラにされても平気で襲いかかってくる割にはトイレに流されてリタイアしてしまうマダムガバリンといい、二度に渡ってロジャーを追い詰める割には二回とも間抜けな倒され方をしてしまう悪霊の親玉といい、みんな凶悪そうな外見をしているくせに何処か抜けているところがあって、実に味わい深かった。深いことを考えず、肩の力を抜いて見る分には十分楽しめる作品である。
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