最終生物 バイオゾイド 「評価 C」
遠い未来。人類は細菌兵器によって大半が死滅し、僅かに生き残った人類も、突然変異で生まれた新生物“バイオゾイド”に襲われて急激に数を減らしていた。そんな絶望的な状況下で、犬を引き連れて荒野をさまよう男がいた。彼デビッド・ペニントンは、未だ細菌兵器の害に苦しむ人々を救うため、ワクチンの材料となる薬草を集めながらロッキー研究所へと向かっていたのだ。デビッドは道中、バイオゾイドに家族を殺された少女アリエルを助け、彼女と結ばれた。アリエルは彼との子供を身ごもったが、その矢先に彼女は野蛮なスカベ族に捕えられ、彼らが神と崇めるバイオゾイドにレイプされてしまった。デビッドは何とかアリエルを救出し、ロッキー研究所へと辿り着く。しかしアリエルのお腹の胎児は、バイオゾイドの精液を受けたことにより突然変異を起こしていた。彼女のお腹は見る見るうちに大きくなり、すぐさま出産の準備が行われた。そして産まれ出たのは、人間ともバイオゾイドとも異なる、何ともおぞましい生物だったのだ。この最終生物は生まれてからも猛スピードで成長していき、研究所内の人間を殺戮していく。一方で研究所内に保管されていたバイオゾイドの肉片が増殖し、新たなバイオゾイドとして再生していた。かくしてデビッドたちは、2体の凶暴な新生物を同時に相手にしなければならなくなった…。
荒野を舞台におぞましい外見の怪物が暴れ回る、ロジャー・コーマン製作総指揮のSFパニック映画。作品の顔であるバイオゾイドたちは「ウイルスの影響で人間が突然変異を起こしたもの」という設定のため、かなりフリークスらしい容姿になっているのが印象的。全身の体表は醜く爛れ、首が縮んでいたり腕が欠損したりしているものの、基本的に外見は人間らしさを残しているものだから何とも言えぬ哀愁を漂わせ、作品の終末感を見事に引き立てていたのである。ただしモンスターとして見るならば、ノロノロ動き回って怪力で獲物を薙ぎ倒していくことしか能がないため、あまりにも魅力に乏しい。「犬笛を聞くと苦しみだす」という弱点も映像的にあまりにも地味で、ろくな見せ場を作れていなかった。モンスターの外見は良いのだから、もっとパニックらしい見所を盛り込んでほしかった。
それにしても本作、飼い犬のブッチが大した活躍もなくあっさりスカベ族に殺されてしまったのは、犬好きとして残念でならなかった。
TOP PAGE