ディストラクション 合衆国滅亡    「評価 A」
解体が決定して兵士達が撤収作業を進めているランバート基地に、フランク・シアーズと名乗る一人の男がやって来た。なんでも彼の母親は33年前に軍の秘密研究に携わっており、死ぬ間際に「ランバート基地の地下に危険なものを封じ込めた」と彼に言い残していたらしい。そこで基地の面々はどんな物が隠されているのか興味を抱き、フランクが制止するのも聞かずに基地の地下を掘り起こしてみた。すると隠された部屋の中で、体中を植物の根のようなモノに蝕まれた人間の死体が見つかった。軍はその異様な有様に驚きつつも、死体の組織を採取しようとする。だが根のようなモノに光が当たった途端、それは急激なスピードで成長を始め、瞬く間に基地全体を覆い尽くしてしまったのである。この生命体はエネルギーを吸収しては無限に成長するという驚異の生物兵器で、その危険性ゆえに長い間封印され続けていたのだ。辛うじて基地から脱出していたフランクは、この恐ろしい生命体を倒す方法は無いかと、基地の生き残りであるキャリーと共に親の研究記録を調べ上げた。その結果、フランクの血液には一種の免疫が植え付けられており、その血に触れた生命体はたちまち朽ち果ててしまうことが判明する。そこでフランクとキャリーは事態を収拾するため、生命体の大本が存在するランバート基地へと向かった…。
「ヘル・ゴースト 悪魔のスケアクロウ」のリチャード・ジェフリーズ監督によるSFパニック映画。「エネルギーを吸収して無限に大きくなる」という生命体のアイディア自体は「クロノス」や「モノリス・モンスター」を彷彿とさせるが、本作では生命体を植物のような形状にすることで、「伸びてきた根が人間の体の中に潜り込んでいく」といったおぞましい描写や「ヒロインの身体に根が絡みつく」といったサービスカット(?)まで多様な表現を可能にし、既存の作品との差別化を図っていた。更に生命体の弱点を主人公の血液にしたのも、一般市民である主人公に活躍の場をもたらしている上、裸のヒロインに主人公が自分の血液を塗りたくるという変態プレイをストーリー上必然性のあるものにしており、実に秀逸なアイディアだと言わざるを得ない。ストーリーも余計な展開を挟むことなく綺麗に纏まっているし、基地周辺の大地を根が覆い尽くすといったスケール感溢れる描写も用意されている。まさに「隠れた逸品」と呼ぶに相応しい作品だった。
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