クラーケンフィールド HAKAISHIN     「評価 D」
無数の船が沈没している魔の海域、デサレーション・パッセージ。大学教授のフェリン博士は、これまで神話上の存在とされていたスキュラの宝石を求め、学生2人と共に沈没船の調査を行っていた。しかし調査の途中、海中から巨大なイカが現れ、船を提供してくれた男が食い殺されるという悲惨な事件が発生した。この海域では昔から一匹の巨大イカが、まるで沈没船の財宝を守ろうとしているかのように生息していたのである。かくして調査の仕切りなおしを余儀なくされた一行だが、巨大イカに両親を殺された過去のある海中写真家のレイが協力を申し出てくれ、再び海中の宝石探しは開始された。ところがスキュラの宝石を求めているのは、フェリンたちだけではなかった。マフィアのマックスウェルたちが、組織の命令によって同じ海域で探索活動を行っていたのである…。
「殺人鼠 KILLER RATS」「キラー・モスキート 吸血蚊人間」のティボー・タカクス監督による巨大烏賊映画。DVDのパッケージには「クローバーフィールド」を意識して自由の女神が描かれているが、実際はニューヨークから遥か離れた南海を舞台にした海洋アドベンチャーである。主役である巨大イカは同時期にリリースされた「クラーケン」とは違ってオールCGで描写されており、無数の触手をスピーディーに動かして獲物を引き裂く様はなかなかに魅力的だった。ただこの触手、海の上で動かしていると気にならないのだが、水中でダイバーたちに絡みつくカットになると合成の粗雑さが浮き彫りになり、途端に質感に乏しくなっていた。退治方法もモンスター映画としてはあまりにも地味で、見所と成り得ていなかったのは残念。美しい海の光景や沈没船の探索といった海洋冒険モノの醍醐味は味わえるが、モンスター映画としては期待しない方がいい作品である。
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