クラーケン          「評価 C」
湖に浮かぶフェルズ島。近頃この島では、漁獲量の激減が深刻な問題となっていた。そこで国立海洋調査機関のダンが原因究明のために島へ向かったところ、地元住民たちは口々に「魚がいなくなったのは先住民が乱獲したせいだ」と言っていた。この島にはごく少数ではあるが先住民たちが居を構えており、白人たちと水面下で対立していたのである。しかしダンはそんなことが原因とは到底考えられず、漁場の監視官カトリーナと共に湖の調査を続け、やがて円形の歯型がついたボートの残骸を発見した。歯型が巨大なイカのものであることを突き止めたダンは、この巨大イカが魚を食い尽くしたのだと確信し、島の住民たちと共に退治に乗り出した…。
ホールマーク改めRHI社が世に送り出したモンスターパニック映画。モンスターの存在が発覚したら即座に住民たちが協力を申し出てくれるという筋書きの単純さから、白色人種と赤色人種が手を結んで人知を超えた巨大イカに立ち向かうという「白鯨」チックなクライマックスまで、全般的に「ジョーズ」以前のモンスター映画を髣髴とさせる内容だった。主役のクラーケンが作中一切全身像を現さず、触手を突き出したり海面に巨大な影を現したりするのが関の山だったのも、作品のクラシカルな雰囲気を醸し出すのに一役買っている。ただし残虐描写に関しては全くの例外で、終盤の巨大イカとの決戦場面では、触手に襲われて手がちぎれたり、顔を削がれたりと、クカシカルなんて言葉からは凡そ遠いストレートな表現がバンバン出てきて度肝を抜かされた。ストーリーは古典的なのに、残虐描写は現代的。そんなアンバランスさが気になってしょうがない、何とも不思議な作品だった。
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