サーベルタイガー・パーク 百万年ぶりの餌食 「評価 D」
南太平洋に浮かぶバラローラ島。資産家のナイルズはこの島に、クローン技術で蘇らせた古代生物たちを柵の中に放し飼いにした、世界で唯一の動物園を作り出した。早速ナイルズは投資家たちを島に集め、古代生物たちの姿を目の当たりにしてもらおうとした。ところがその頃、柵の中に入った警備員が古代生物の中でも特に狂暴なサーベルタイガーに食い殺され、ゲートが開け放たれてしまった。おまけに島に来ていた馬鹿な学生たちがゲームの一環として警備システムを停止させたせいで、サーベルタイガーは島中の至るところに出没するようになったのだ。次々とサーベルタイガーの餌食になっていく、警備員や馬鹿学生たち。この異変を察した従業員のブライアンは、サーベルタイガーを始末して事態を収拾しようとするが…。
「ジュラシック・パーク」を彷彿とさせるコンセプトのアニマル・パニック映画。VFXのクオリティは決して高いとは言い難いし、警備員や従業員が単身で柵の中に入ってサーベルタイガーの餌食になる──という全く同じシチュエーションが三回も繰り返されるし、ラストは何の解決もしていないのに投げやり気味に終了するし、映画としてはあまりにもお粗末な出来だ。しかも本作、襲われる側の人間の中に共感できるような人物が全くいない。主人公格のブライアンは仕事中にセックスを求めるようなアバズレ女のサバンナと恋人同士。ナイルズは自分の金儲けのために事件の存在を隠蔽しようとする。そして馬鹿学生たちは自分たちのゲームのために平気で園内の設備を破壊していく(そもそもなんで投資家たちに古代生物を疲労する大切な場に学生たちを招いたのか)。だが本作、腕を千切ったり内臓をえぐったり首をもいだりと、残虐描写には相当な気合いが窺えた。そのため共感できない人間たちがサーベルタイガーに食い殺されていく様に、何とも言えない痛快感を覚えることができたのである。
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