トルネード・インセクト     「評価 C」
遺伝子操作によって生み出された害虫駆除専用のイナゴたちが、装置のトラブルによってアイダホの研究所から抜け出してしまった。研究が不完全だったせいでイナゴたちは害虫だけでなく牛や人間にも襲いかかり、周辺地域は甚大な被害に見舞われる。研究所近辺で有機農薬の開発をしていた昆虫学者コルトはこの異常事態を察し、妻ヴィッキーと共に事態の収拾に乗り出した。ところがイナゴたちは物凄い勢いで繁殖を続けており、最早火炎放射器や殺虫剤を用いても焼け石に水という状態だった。だがそんな時、コルトはイナゴたちが化学合成された農薬を好むことに気付き、有機農薬をばら撒いてイナゴを退治する作戦を打ち立てた…。
「プレデター・ソルジャー」のイアン・ギルモア監督による、「環境に悪影響をもたらす農薬を使う者は神の裁きに見舞われる」というヒッピー的思想に溢れた内容の昆虫パニック映画。「イナゴは化学合成された農薬を好む」という性質が、どうして「イナゴは有機農薬に弱い」という結論に繋がるのか理解し難いし、そもそも農薬を好むなら農作物が真っ先に食い尽くされるはずだし、設定に大いに無理が感じられる。また同じイナゴ映画の「D.D.T.」では農作物の被害に重点を置いて個性を出していたのに対し、本作のイナゴは人間や動物しか襲わないため、平凡な昆虫パニック映画となっていたのも残念なところ。しかし本作、弾丸のようなスピードで飛び回るイナゴたちの破壊描写は素晴らしいの一言だ。研究所員の身体を貫通するのを始め、通りすがりの男の喉を貫いて大量の血を噴出させたり、ヘリコプターに集団で突っ込んできて墜落させたりと、全てを壊さんとする描写の数々には、パニック映画好きとして痺れずにはいられなかった。
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