グリズリー・プラネット    「評価 C」
遥か未来。地球は核戦争と環境破壊によって荒廃し、刻一刻と滅亡の時が近づきつつあった。だがそんな中、カルロン社は地球とよく似た環境の惑星オキシジェンを発見。社長のジェームズはそこに人類の未来があると考え、ケインら社員たちと共に惑星の調査を行うことにした。転送装置を使うことで瞬く間にオキシジェンに辿り着いた一行だったが、何やら物陰から彼らの様子を窺う存在があった。実はこの惑星は、狂暴な古代クマたちが覇権を握っていたのである。クマたちに襲われ、次々と死亡していく社員たち。しかもジェームズには惑星調査以外の別の思惑があることが発覚し…。
「グリズリー」「ザ・ワイルド」「ワイルド・グリズリー」「クラッシュポイント・ゼロ」など、クマと人間が戦う映画の多くでは、撮影に本物のクマ役者を使用している。ところが本物のクマを使うとなると、CGやクレイアニメでは表現できない質感や存在感は醸し出せるものの、生身の人間と格闘させることはおろか、無残なクマの死に様を写すこともままならないため、いまいち迫力に欠けた出来になるのが弱みだった。そこでクマ映画の新作たる本作では、首が跳ね飛ばされて大量の血が噴出したり、脇腹を抉られて肋骨や内臓が見えたりと、襲われる側の人間を徹底的にグロテスクに描くことで、迫力のなさをカバーしていたのだ。しかし一方で、クマとの戦闘シーンは、斃れたクマが寝転んでいるようにしか見えなかったり、クマに銃弾が当たるカットは違和感のある出来だったりと、まだまだ迫力不足の感は拭えなかった。果たして本物を使ったクマ映画が、「迫力不足」という難題を乗り越える時は来るのだろうか。パニック映画好きの1人として、この行く末を見守るばかりである。
さてそんな本作だが、一番の見所は先発調査隊が惑星オキシジェンを探索する冒頭の場面である。低木が生い茂る道を、女性隊員がナタを振りながら進んでいる。すると彼女は隊長の腕をうっかり切断してしまい、隊長は倒れて近くの穴に転落してしまう。穴の底に落ちた隊長は、近くの怪しい色をした池に腕を浸けたところ、切り落とされた腕が見る見る再生していった。それに隊長が驚いていると、穴の奥から巨大なクマが現れて襲い掛かる……。何とも目まぐるしい上にツッコミどころ満載の展開で、観ていて頭が痛くなってしょうがなかった。
TOP PAGE