ボートハウス 惨殺の肉池 「評価 D」
25年前、コンピュータ技師ローランドとその妻が、カナダの孤島に出かけたまま行方不明になった。その後、夫妻の友人で島の持ち主でもあったウルフが、急に多数の特許を得て大物実業家へと出世したことから、世間では「ウルフがローランドを殺し、彼の技術を奪ったのでは?」と密かに囁かれていた。そして現代、プローブ紙の新米記者ジャックは、事件の真相を突き止めるために孤島へと向かった。彼は島のボートハウスに滞在し、ウルフの娘を名乗る謎の女性や、島の管理を任されている知恵遅れの大男ボーイと知り合いながら、事件の手掛かりを探る。しかし当のウルフがそれを見過ごすはずもなく、彼に対して刺客を差し向けてきた…。
「キュービックホラー『デモンズ』、パズルホラー『ガバリン』に続く、噂の“ラビリンス”ホラー遂に日本襲撃!!」というビデオ解説文のインチキ具合が清々しいミステリー映画。流血描写は皆無で、刺客との戦いは緊迫感に乏しく、序盤で頻出する何者かが斧をちらつかせるカットはしょうもないオチがつき、解説文に騙されてホラー映画だと思って見てしまうとゲンナリさせられることだろう。とは言え本作、ミステリー映画としても凡庸な出来で、あまり誉められたものではない。主人公のジャックは謎解きらしいことを殆どせず、島でしたことと言えば、せいぜい溺れかけて全裸になったり、気絶した刺客を縛ったぐらい。真相の究明は全て謎の女性とウルフによる告白で済まされ、しかもろくに手掛かりを示されない段階で真相が明かされるので、謎解きの醍醐味をまるで味わえない。ただ、ジャックとボーイが酒瓶を無数に開けて飲んだくれたり、ラストで大出世したボーイの姿が出てきたりと、コミカルな演出は妙に頑張っており、そのおかげでストーリーを追う気力を呼び起こしていたのは評価に値した。
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