ザ・ドリーミング 「評価 B」
200年前、オーストラリアの小さな集落に住んでいたアボリジニたちが、余所からやってきた鯨取りによって虐殺された。そんな中でアボリジニの娘は、無念の思いを1つの腕輪に込めていた。そして現代、考古学者のソートンが、遺跡深くに眠っていた腕輪を発見した。博物館に展示された腕輪はアボリジニの若者たちによって盗み出されたが、その際に一味の女が警備員に殴られ、ソートンの娘キャシーが働く病院へと担ぎ込まれた。女はキャシーの見ている前で、もがき苦しみ、息を引き取る。そしてそれ以来、キャシーはおぞましい幻覚や夢に悩まされることになった。女の死体が裂けて見えたり、窓の外で血まみれの女が泣き叫んでいるのが見えたり、凶悪な鯨取りに囲まれたり。これらの現象の原因がソートンの発掘した腕輪にあると考えたキャシーは、夫ジェフと共にソートンの家へと向かうが…。
「モンスター・クロコダイル 聖なる生贄」のアントニー・I・ギネイン製作総指揮による、オーストラリア産オカルト映画。現実と幻覚の境界が曖昧になっていく過程が丁寧に描かれており、キャシーがどちら側にいるか分からない不気味な終わり方も良い味出してる。また映像面も秀逸で、霧が晴れると串刺しにされている青年の姿が露わになる、薄暗い森の道で鯨取りが大挙して現れる、などの幻想的な面作りも作品の禍々しいムードを際立たせている。ただ幻覚の内容が似たり寄ったりで、中盤以降の展開が単調に感じられたのは残念だった。
TOP PAGE