ボア            「評価 C」
タイの国立公園の密林地帯で、大学生パンナが行方不明になった。そこで友人のキンたちは彼を探すべく、知り合いの気球を勝手に拝借して現地へと向かった。更に捜索隊や行方不明事件を取材するマスコミも、密林の中へと足を踏み入れる。しかしそこは、蛇を信仰していた古代民族の遺跡が眠る場所。その地に踏み入れた者たちは、神として崇められていた巨大な蛇に襲われる運命だったのだ…。
全長10メートルは悠にある大蛇が人々を襲う、タイ産の蛇映画。東南アジア製である上、話の途中で古代民族の遺跡なんて出てきたものだから、てっきりオカルト要素が混じった珍作であるかと思いきや、意外にもそういった要素は含まれておらず、モンスターパニックの王道を行く内容だった。思えば「ZODA」や「ゲイター」も割かし真っ当な内容だったし、最近の東南アジア系モンスター映画は国際マーケットを見据えてか、独特な味わいを抑えた作品が幅を利かせている傾向にあるようだ。それはそれで結構なことだが、今後「アリゲーター 愛と復讐のワニ人間」みたいな奇妙奇天烈な作品に巡り合える機会が減ってしまうことを考えると、少々寂しくなってしまうのもまた事実である。
さて、そんなわけで本作はストーリー面ではオーソドックスな内容であるが、こと残虐描写となると話は別である。本作の大蛇は神である故か人間を食べることがなく、たとえ丸呑みにしても相手が死んだ時点で吐き捨ててしまう。そのため死体はジャングルのあちこちに散逸するわけで、丸呑みがデフォルトの殺害方法となっている大蛇映画において、本作は従来よりも多くの死体描写を盛り込まれていたのだ。そんな辺りに、僅かながらであるが東南アジア製モンスター映画の意地のようなものを感じ取ってしまった。
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