猟奇! 惨殺魔 ザ・ミューティレーター「評価 D」
エド少年は父親の誕生日に、うっかり猟銃を暴発させて母親を死なせてしまった。その後、エドはすくすくと成長して大学生になったが、父親はショックから立ち直れずに飲んだくれる生活を送っていた。そんなある夏のこと、エドは父親から海岸の別荘に遊びに来ないかと誘いを受ける。アル中の父親と一緒にいたくないエドはあまり乗り気ではなかったが、5人の友人達が行きたいと強く熱望するので、仕方なく行ってみることにした。しかし別荘に来てみると、そこに父親の姿はない。怪訝に思いながらも海岸でリゾートを満喫するエドたちだったが、物陰から彼らを覗く影が一つ。妻の復讐に燃える父親が、エドたちを虐殺しようと企んでいたのだ…。
アル中オヤジが夏のビーチで大ハッスルする殺人鬼ムービー。「妻を息子に殺された」というオヤジの動機を描いている割には何故今になって殺人を決行したのかがまるで分からず、設定に無理が感じられる。また演出も鈍重で、全編にわたって素人じみた映像が延々と展開される。そして見所であるはずの殺戮シーンも、チェーンソーで腹部を切断、頬に杭を刺した上で斧で斬首、銛で首を貫通、腹を鉤で抉り取る──と、残酷ではあるものの大して目新しい手口ではなく、これと言ったセールスポイントとなれていなかったのは厳しいところだ。ただ本作、殺人鬼のオヤジの執念だけは目を瞠るものがあった。前半は殺人鬼映画のお約束どおりに物陰に潜んで若者達を殺していくのだが、クライマックスでエドたちの前に姿を現してからは本領発揮。自動車に潰されて上半身だけになってもエドに襲い掛かるという驚異のガッツを見せてくれ、平凡な本作を見事に印象深いものにしてくれたのである。
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