首だけ女の恐怖     「評価 B」
黒魔術を研究しているキャシーは、恐るべき黒魔術として知られているリアク魔術について調べるためバリ島を訪れた。友人のヘンドラの手引きによってリアク魔術を操る老婆"女王"に会うことができた彼女は、女王からリアク魔術を教わることに。動物に変身する魔術を習得し、未知の体験を満喫する彼女だったが、翌朝どうも体調が優れなかった。実は女王は魔術を教える代わりに、キャシーを首だけ女にして夜な夜な人間を襲わせていたのだ。人間の魂を得るたびに若返る女王にとって、キャシーは代わりに人を殺してくれるうってつけの道具だった。それを知ったヘンドラは親類の呪術師たちを総動員し、女王の悪だくみを阻止しようとするが…。
ビデオジャケットに書かれている「ぶっとび妖怪シリーズ」という言葉に全く偽りの無い、全編壮絶なぶっとび具合で驚愕させてくれるインドネシア産のカルト映画。作品の顔である首だけ女は、首から下に内臓をぶら下げているグロテスクなデザインから、何処からとも無くフラフラと飛んできては妊婦の膣口に口を当てて胎児を啜り出すという行動パターンまで、何もかもがインパクトの塊の素晴らしいキャラクター。正直このキャラだけでもお腹いっぱいなのに、本作のクライマックスではその衝撃をも遥かに凌ぐ勢いで、女王と呪術師たちによる一大魔法合戦が繰り広げられるから涙が止まらない。指先から電撃を放つ女王! 座禅を組んだ姿勢で全身発光して空を飛ぶヘンドラの叔父! 何の前触れもなく登場して女王を圧倒する大騎士ギデオカ! 彼らによる戦闘シーンはチープな特殊効果満載なのもさることながら、ピンチになったら唐突に敵の弱点が発覚するといった御都合主義な点もあり、観ていて終始笑いが止まらなかった。同じようなタイプのオカルト映画である「黒魔術のいけにえ」と違って単純な勧善懲悪ストーリーなのも、純粋にチープさを笑えるという意味で良い。東南アジアの底力をまざまざと思い知らせてくれる怪作だ。
TOP PAGE