原始人             「評価 D」
今から20万年前、原始人たちは絶対的な強者であるクマを畏れ敬いながら生活していた。そんなある時、青髪の一族が山を移動していたところ、行き倒れ気を失っている金髪の男を発見する。彼らは余所者である金髪の男を警戒し、取り囲んで殺そうとした。しかし一族の女が間に割って入り、男を助けるように懇願してきた。そこで彼らは男を見逃し、二人を置き去りにして何処かへと去っていった。その後、女の懸命な介抱の甲斐もあり、金髪の男は意識を取り戻す。共に集団から追われた二人は、自分達の居場所を見つけるための長い旅に出たのである…。
「昼があって夜があり、雨が降って風が吹く。この雄大な自然現象は何の害も与えない。20万年の昔、夜明けと夕暮れは神の恵みだった──」といった堅苦しいナレーションで始まる、「人類創世」「原始人100万年」のモンド版といった趣のマカロニ映画。人間の頭蓋骨を割って脳味噌を頬張る、クマに襲われて顔面がグチャグチャになる、人間の生首を切り落とす──といった残酷描写の他に、本物のクマと人間の格闘や野鳥のSEXなんて強烈な場面も用意されている。エロ描写こそ弱めだが、如何にもマカロニらしい混沌とした味わいのある作品だ。また原始人の進化の象徴として作中で使われるのが言語や火ではなく、投石紐なのも妙に渋くて印象深い。
ただこの映画、モンド映画ブームが去った後に作られた所以か、作品の勢いが致命的と言っていいほどに感じられなかった。場面の間ごとに野生動物の生態や自然の風景を写した映像(当然有り物のフィルムの流用)が延々と流れて尺を水増ししているし、時折出てくる格闘シーンもいまいち迫力不足。これらのせいで折角のショッキング描写のインパクトも随分と薄まってしまい、かなり退屈な仕上がりになっていたのである。
食人族映画一覧へ
TOP PAGE