スライム            「評価 D」
地方の企業が雄大な森を切り開き、シダーゲート会議センターを建設した。早速この施設では世界環境会議が開かれることになったのだが、そのために施設を訪れた者が次々変死するという怪事件が発生する。企業側が事件の隠蔽に躍起になっている一方、参加者のダグラス牧師は従業員のケリーたちと協力して真相の究明に乗り出した。とそんな折、施設の下水道を調べてみた彼らは恐ろしいものを目撃する。黒いアメーバ状の新生物が、一箇所に集まって巨大な個体を作っていたのである…。
新種のアメーバ生命体が人類に試練を課す、プライムウェーブ発のモンスターパニック。アメーバ状のモンスターといったら、「マックィーンの絶対の危機」のような他の生物をモリモリ取り込んでいく肉体派タイプと、「ザ・スタッフ」のような人間の体内に侵入して意のままに操る知性派タイプとが存在するが、本作のアメーバはその両方のタイプを兼ね備えたような奴だ。無数のアメーバが集まって巨大なボディを形成している時は人間を積極的に取り込んでいくが、小さな個体でいる時は触れた人間の精神を攻撃することで相手の自滅を誘う。作中で人間を襲う際には精神攻撃ばかりが多用されるため、肉体派アメーバが好きな者にとっては少々物足りないのだが、一作品中で両方のタイプの攻撃を拝めたのはモンスター好きとして喜ばずにはいられなかった。
ただしこの映画、ストーリーがあまりにも乱暴だ。作品の途中でアメーバ生命体は知性を持っていることが確認されるが、主人公達は最後までアメーバ生命体と意思疎通をすることができないまま映画は終わる。なのにストーリーの結末は、アメーバ生命体の目的を主人公達が把握していることを前提にして語られるものだから、観ていて物凄く釈然としないのだ。またアメーバ生命体の正体を必要以上に隠し続けた結果、ケリーのペンダントや森に住む原住民族といった諸々の伏線との絡みが上手くいかず、クライマックスがまるで盛り上がらなかったのも残念なところ。よほどアメーバ状モンスターが好きでない限り、お勧めはできない作品だ。
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