ゴーレム        「評価 D」
マーシーは昔馴染みの友人達と一緒に、車で旅行に出かけることになった。その道中でゴーストタウンに立ち寄った一行は、男の惨殺体と大金の入ったバッグを見つける。彼らは後ろめたさを覚えながらも、欲に駆られてバッグを持ち去った。だがその晩、砂漠の真ん中でキャンプをしていた時に事件が起こった。友人の一人が用を足していたところ、何者かによって殺されたのである。翌朝死体を発見した一行は、「誰かがバッグを奪い返しに来たのでは」と不安を募らせる。おまけに車が動かなくなったために遭難同然の身となってしまい、彼らの不安は増すばかり。するとそれに呼応するかのように、第二第三の殺人が。実はこの砂漠には、不安や恐怖といった感情に反応して人間を襲う怪物ゴーレムが潜んでいたのだ…。
砂漠で遭難した若者たちが自らの恐怖に襲われる、オカルト・モンスター・ホラー。ゴーレムはCGが粗いのは残念だが、本作のシチュエーションに絡めて、負の感情を持つ人間を率先して付け狙うという特性を与えたのは良いアイディアだった。砂漠に限らず、あらゆる慣れない環境に放り出されてしまえば、誰だって不安や恐怖が湧いてくるものだ。しかし環境に順応するためには、それらの感情と正面から向かい合い、克服しなければならない。本作ではゴーレムを不安や恐怖の象徴として据えることで、単なるオカルトじみたモンスター映画に留まらず、自己の内面における葛藤へと昇華していたのである。ただこの映画、普通に恐怖を克服する話としてまとめればいいのに、七つの大罪を始めとした枝葉の設定が作中で妙にでしゃばっているのは気になった。終盤も大して恐怖に立ち向かっている感じがしない内に唐突に事件が解決してしまうし、折角のアイディアがろくに活かされていないのは残念だった。
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