13日の金曜日 地獄のフライデー  「評価 D」
デビット少年はある日、両親を亡くしてしまった。彼は叔母のマーサの保護を受けることになったが、マーサはデビットの父ケヴィンへの偏愛から、デビットからあらゆるものを奪っていった。食べるものを制限され、大切な友人だったアキムは遠くへ追いやられ、飼い犬のヘンリーは殺され──。他の大人たちも知らぬうちにデビットを傷つけ、精神的に追い込んでいく。そんな中でデビットは内なる世界に閉じこもり、恐ろしい妄想に耽るようになった。そして2月13日の金曜日、デビットの妄想は現実を蝕み始めた。彼はナイフとライフル銃で武装し、家の大人たちを次々と殺していったのだ…。
「13日の金曜日」シリーズとは一切関係の無い、77年製作のサスペンス映画。デビット少年の身に不幸が降りかかる場面と、下手な演出による妄想や回想とを交互に繰り返すことで、次第にデビットが狂気の世界に落ちていく様を描こうとしている。しかしこの映画、冒頭から両親が死んでいるために明るい少年だったデビットの姿は僅かな回想シーンでしか拝むことができず、作中の大半の場面におけるデビットは「オーメン」のダミアンさながらに、陰気で何を考えているのか分からない状態なのがまずかった。おかげでデビットが追い詰められていっても感情移入することができず、終盤で暴れ出しても大したカタルシスは味わえなかったのである。テオ・マセロの音楽に彩られた陰鬱な雰囲気は見応えがあったが、サスペンスとしては消化不良の感が強い作品だ。
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