大蜥蜴の怪         「評価 D」
ニュー・メキシコ州の田舎町で、若いカップルが失踪するという事件が発生した。保安官や2人の友人であるチェイスは懸命に行方を追うが、その間にも町の近郊では原因不明の自動車事故や鉄道事故が続発する。唯一の手掛かりとなるのは、現場に残されていた何かが引きずられたような痕跡のみ。全く捜査に進展が見られないまま、町では恒例のパーティーの日がやってきた。チェイスは知り合いのDJスミスと共に楽しい一時を過ごすが、そんな中で事件の真犯人が突如として姿を現した。町外れの森に潜んでいた巨大なドクトカゲが、事もあろうにパーティー会場へと乱入してきたのである…。
大味な戦争映画「グリーン・ベレー」で知られるレイ・ケロッグの監督デビュー作。主役の巨大トカゲは着ぐるみや人形アニメではなく、実物をアップで撮って巨大に見せるというバート・I・ゴードン的手法で表現されている。しかし本作では合成技術の類が一切使われず、人間と巨大トカゲが一緒の画面に映ることはない。ただミニチュアセットの中をトカゲがウロウロするだけなので、なんだか「深海征服」に似た、非常に間の抜けた雰囲気が漂っていたのだ。特に噴飯物なのが列車事故の場面で、脱線した列車の乗客に巨大トカゲが襲い掛かるという作品最大の山場となる所なのに、その光景はどう見てもミニチュアの列車と戯れる普通のトカゲ。映像に被さっている「キャー」「ワー」といった悲鳴が、一層物悲しさを際立たせていた。
脚本もまた、単純な展開ではあるが大味さに溢れている。トカゲのいることが明らかになる顛末は唐突過ぎるし、トカゲの巨大化した理由が「ミネラルと塩分が豊富な土地で育ったから」というのは幾らなんでも斬新過ぎる。あまりに間の抜けているものだから、観ていて朗らかな気持ちになってくる作品だ。
TOP PAGE