ヨーガ伯爵の復活 「評価 C」
男は迷わず惨殺し、女は血を吸って下僕に変える。そんな好色吸血鬼のヨーガ伯爵が、カリフォルニアの港町に再び現れた。伯爵は無数の下僕たちと共に古い邸宅に住み着き、近所の孤児院で働いている美女シンシアに目を付けた。シンシアには婚約者のデイビットがいたが、ヨーガ伯爵はそんなのお構いなし。すかさず孤児院を襲撃すると、シンシアを邸宅に連れ去ってしまったのだ。そしてヨーガ伯爵は催眠術をかけて彼女を手篭めにしようとするが、シンシアはすぐに正気に戻ってしまい、なかなか思うようにいかなかった。一方、失踪したシンシアの行方を探っていたデイビットと警官たちは、ヨーガ伯爵が吸血鬼であること、シンシアを始めとした美女たちが彼の屋敷に幽閉されていることを知り、伯爵の屋敷へと乗り込んだ。しかし屋敷の中には、巧妙なトラップの数々と、無数の吸血鬼たちが待ち構えていたのである…。
“中世スタイルの吸血鬼が現代社会で大暴れ”というコンセプトが「ドラキュラ'72」を微妙に先取りしていたホラー映画、「吸血鬼ヨーガ伯爵」の続編。全体的に重苦しい空気が漂っており、そのミステリアスな感じは警察側の謎解きが中心となる前半部分では効果的に作用していた。ところが全ての謎が解け、ストーリーがヨーガ伯爵との対決に突入しても映画の雰囲気がそのまんまなのには参った。院長が底なし沼に落ちて死ぬ場面や、デイビットとヨーガ伯爵との決闘シーンのような、本来ならば見せ場となりそうな箇所が、控え目な演出のおかげで全然本来の役割を果たせていなかったのである。また場面と場面の間には、民俗学者と警官のコントさながらな掛け合いや、突進してくるヨーガ伯爵をスローモーションで捉えた間抜けなカットなど、思わず噴き出してしまうような妙なシーンが織り込まれていて話の腰を折る。ハマーの吸血鬼映画のような鮮烈さを期待していると、ずっこけてしまうこと必至だろう。
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