女切り裂き狂団チェーンソー・クィーン「評価 B」
ロサンゼルスの街で、チェーンソーによる連続殺人事件が発生した。美女たちがバーで男を引っ掛けては、その体をチェーンソーで八つ裂きにしていたのである。そんな中で私立探偵のジャックは、家出娘サマンサを探す任務を引き受けた。そして酒場にてサマンサを見つけ出すが、彼は意識を失っている間に謎の美女集団に捕らえられてしまった。彼女たちはチェーンソーを信奉するカルト教団で、教祖の命令によって次々と男どもの身体をバラバラにしていたのだ。危うく彼女らに殺されそうになるジャックだったが、親友の仇を討つために教団に潜入していたサマンサに助けられ危殆を脱する。ジャックはサマンサと協力し、教団の壊滅に乗り出すが…。
「アタック・オブ・ザ・ジャイアントウーマン」のフレッド・オーレン・レイ監督による、全裸と鮮血とチェーンソーに彩られたホラーコメディ。「チェーンソーは非常に危険です。映画のマネはしないでください。特にセックスの小道具としての使用はおやめ下さい」なんて大変良心的な冒頭の注意書きに始まり、全編脱力系のネタに溢れていた。
まず本作、露払いの殺害場面からして秀逸。裸のお姉ちゃんがチェーンソー持って男を八つ裂きにするという凄惨なシチュエーションにもかかわらず、ノリノリな音楽と大量に噴き出す血、そしてポンポン飛んでいく体のパーツの間抜けさ加減のおかげで全く陰惨さが感じられず、観ている端から気が抜けていくのだ。その後は私立探偵ジャックによる捜査へと移るわけだが、女の尻に敷かれている彼の姿がハードボイルドなナレーションで語られ、これまた腑抜けな内容だ。
また本作には、レザーフェイス様ことガンナー・ハンセンがカルト教団の教祖役で出演している。彼は後年の「モスキート」でもチェーンソーを持って暴れていたので、きっと本作でもチェーンソーで大暴れしてくれるに違いない──と期待に胸を膨らませていたら、彼は終盤でチェーンソーの電源を入れるだけで自ら殺害はせず、しかもその電源を入れるのにすら手間取るというズッコケ具合。おまけにチェーンソーで呆気なく殺されてしまうというトンだ甲斐性無しで、このギャップには堪らないものがあった。
その他にも本作には、“ダブル・チェーンソーの舞い”なる奇怪な舞踏や、美女2人によるチェーンソー・チャンバラなど、ほのぼのしてくるようなネタが満載。極め付けにラストには次回作の予告まで出てくるし、何とも素晴らしい一品だった。
TOP PAGE