狼男バサーカー 「評価 D」
アメリカの山間に位置するレインボーバレーは、10世紀にバイキングの手によって開拓された土地だった。現在そこはキャンプ場となっており、毎年夏になると若者たちが訪れる絶好のスポットに。そしてマイクたちも例に漏れずにレインボーバレーへとやってきたが、その頃近辺の森では熊がうろつくようになっていた。そうとは知らずに休暇を満喫するマイクたち。しかしやがて、用を足そうとしていた友人の一人が、惨殺体となって発見される。死体に残る傷から犯行は熊によるものと思われ、このままではマイクたちも襲われる危険がある。そこで早々とキャンプ場を脱出しようとするものの、そんな彼らの前に予想外の敵が出現した。全身に熊の毛皮を纏ったバイキングの子孫“バサーカー”が、鋭い爪を振りかざして襲い掛かってきたのだ…。
本作に邦題に「狼男」とあるが、狼男は全く出現しない。熊の格好をした殺人鬼が、キャンプに来た若者を始末していく映画である。作品前半の殺害シーンでは熊の姿と泣き叫ぶ人間とが交互に写され、明らかに熊が人を殺しているように見えてしまうのだが、映画の山場になって真犯人であるバサーカーが唐突に出てきて度肝を抜いてくれる。しかしこのどんでん返し、それまでの殺害シーンの演出があからさまに熊が殺しているようになっていた上、現代のキャンプ場にバサーカーが存在することがろくに示唆されていなかったので、驚いたことは驚いたけれども全然ミスリードされた気になれず、むしろあまりもの強引な展開に失笑を禁じえなかった。しかもこのバサーカー、情けないことに正体を現した後はろくな活躍の機会を与えられず、本物の熊に襲われて重傷を負ったり、保安官にライフルで撃たれて気を失ったりという有様。殺害方法は爪で引っ掛かれるだけで単調だし、熊のマスクを付けた姿は間抜けの一言だし、散々な印象のキャラクターだった。
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