残酷! 女刑罰史(別題:地獄の魔女狩り)「評価 B」
15世紀。大規模な魔女狩りが行われている村に、新任の教会審問官としてカンバーランド卿がやってきた。ろくに裁判も行わずに処刑していた前任のアルビーノとは違い、カンバーランド卿は定められた手続きを踏むことを重視した人望の厚い男。これで少しは不当な罪で裁かれる者も減るかに思われたが、実はカンバーランドも中身はアルビーノと変わらず、腐敗と汚職にまみれた人物だった。彼は根拠の無い直感で村人を魔女と決め付けるばかりか、財産を奪い取るために男爵を悪魔崇拝者に仕立て上げてしまう始末。やがて彼の教え子であるクリスチャンはそんなカンバーランド卿のやり方に疑問を覚え、魔女として牢屋に入れられていた村娘のバネッサを独断で解放した。すぐにクリスチャンは魔女を逃がした罪で捕らえられるが、いざカンバーランドたちが彼の処刑を行おうとした時、バネッサが不満の溜まった村人たちを率いて、教会に殴りこみをかけてきたのである…。
70年代に拷問映画というジャンルは世界各地で一大センセーションを巻き起こしたが、そのハシリとなったのが本作だ。ストーリーの合間に隙あらば拷問シーンが織り込まれるという凄惨な内容で、とりわけバリエーションに富んだ拷問・処刑の数々は見物である。定番の緊縛や鞭打ちを始め、指切断、焼印、針刺し、舌抜き、といった小道具中心のものから、並び生えたトゲの上に座らせる、宙吊り状態からの火あぶりにする、焼けた椅子に座らせる、といった大掛かりなものまで、その種類の豊富さは相当なものだ。まだ拷問映画が広く認知されていない頃の作品のためか、大半の拷問シーンは後年の作品群のそれと比べると稚拙な出来で、全体的に視覚的なインパクトは乏しかった。けれども本作はさすが多様な拷問を取り揃えているだけのことはあって、脳天に少しずつ水滴を落としていくなんて精神に訴えかけてくるタイプの拷問まで登場し、その不満感を見事に補ってくれたのだ。
またこの映画、教会側の恐怖をひたすらに描いていくのかと思いきや、虐げられる側の村人たちにも焦点が当てられている。彼らは刑罰を受けている男を集団で笑い飛ばしていたかと思いきや、団結して教会に立ち向かった際には金品を奪ったり罪の無い人間をなぶり殺しにしたりとやりたい放題。双方の人間とも醜い面を持っていることを明確に見せ付けることで、作品を観た後の遣る瀬無さを倍化させていたのである。
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