ゾンビ3           「評価 C」
ジャネットたち7人の男女が、イタリア郊外の屋敷を訪れた。彼らはここで休暇を楽しむつもりだったが、何故か屋敷に住み込んでいるエアズ教授の姿が見当たらなかった。それもそのはず、古代エトルリア人の魔術を研究していた教授は、近くの遺跡にて禁断の死者蘇生の術を行い、蘇った死者たちに食い殺されていたのである。やがて死者たちは屋敷にまで現れ、滞在中の人々に襲い掛かる。ジャネットたちは死者たちの襲撃を掻い潜りながら、何とか生き延びる術を模索しようとするが…。
「サンゲリア」(ZOMBIE 2)のヒットに肖って製作されたマカロニゾンビ映画。そのためゾンビのデザインは本家「ゾンビ」よりもむしろ「サンゲリア」に寄っており、骸骨の形が見えるほど腐敗している他、眼窩からは蛆虫やミミズを覗かせている。低予算のためちゃんとしたメイクが施されているのが頭部だけで、胴体は布切れで隠れ、両腕は粘土を貼り付けているだけという有様だったが、それでも各個体ごとに頭部のパーツが微妙に異なっている辺り、製作側の妙な拘りを窺い知ることができた。また本作のゾンビは腐敗しているくせにやたらと知能が高く、使用人の手にナイフを刺して逃げられなくした上で鎌で首を切り落とす、なんて頭脳プレイを仕掛けてくるのみならず、固く閉ざされた扉に対しては集団で丸太を持って強行突破したりと、多人数による協力プレイまで見せてくれる。死んだばかりのゾンビでなく、とっくの昔に死んでいた“その他大勢のゾンビ”がこれだけの知能を発揮するのは珍しく、従来のゾンビ映画とは一風変わった魅力を醸し出していた。
そして人間側の登場人物の中では、何といっても最年少のマイケル君が印象的。どうやら背の低い大人が演じているらしく、役柄は少年なのに顔は随分と老けていて、ただ立っているだけでゾンビを圧倒するほどの存在感を放っていた。しかも彼は実の母親に対して親子以上の情愛を抱いており、母親のベッドジーンを目撃しては眼をぎらつかせ、隙あらば母親のスカートの中に手を突っ込み、挙句にゾンビ化して母親の乳房を食い千切り──と、行動の全てがおぞまし過ぎる。この映画はストーリー性なんて皆無に等しいが、ゾンビたちとマイケル君の活躍だけでも十分に見ごたえがあった。
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