壊滅暴風圏U カテゴリー7 「評価 A」
シカゴの大嵐が収まった後も、未だ異常気象は止まる気配がない。それどころか北米大陸を越えて、パリやエジプトなど、世界各地で巨大な嵐が発生するようになっていたのである。そしてアメリカにおいても、バファローとフロリダで同時にタイフーンが発生し、それらがワシントンD.C.で合流しようとしていることが明らかになった。もし二つのタイフーンが合流したらカテゴリー7という前代未聞の規模になってしまい、ワシントンD.C.は壊滅的な打撃を受けてしまう。そこで連邦緊急事態管理局の面々は事態を打開すべく、タイフーンの発生にヒートアイランド現象が関わっていることから、市内全域を停電させることで気温を下げ、タイフーンを消滅させようという作戦を打ち立てた。しかし電力を遮断するという点で政府の反発を受け、なかなかそれを実行に移せずにいたのである。一方この危機に際し、キリスト教系の新興宗教が災害を利用して信者を増やし、多額の寄付金を集めようとしていた。彼らはこの嵐が神からの試練であると強調するため、全米各地にカエルやハエを大量にばら撒き、果てには政府の人間の子供たちを誘拐するという暴挙に出たのだ…。
竜巻や嵐による大規模災害を超絶的な映像で魅せたテレフィーチャー、「壊滅暴風圏 カテゴリー6」の続編。本作も前作とほぼ変わらない3時間弱もの尺を誇るが、災害場面の数や凄絶さにおいて前作のそれを軽く凌いでいたために終盤まで退屈することなく、遥かに満足度の高い内容となっていた。特に注目すべきは破壊描写の深刻化で、アメリカでは自由の女神やラシュモア山の彫刻、フランスではエッフェル塔、エジプトではピラミッドと、各国の象徴となっている建物が、竜巻などの異常気象によって次々と破壊されていくのである。このように各国の名所が破壊される場面を並べることで災害規模を強調する方法は、ややもすると「サンダーボルト」のように陳腐な感じになってしまいがちだ。しかし本作はその全ての場面を徹底的に作りこんでいたために鼻につくことがなく、結果としてビル破壊の比ではないほどのカタルシスを味わわせてくれたのである。また嵐の真っ只中を戦闘機が飛ぶ場面では、次々と出現する竜巻の間を縫うように飛んでいくなんて鳥肌モノの光景が拝め、パニック映画好きとしては狂喜乱舞せずにいられなかった。ニューヨークで発生する津波が「合衆国壊滅U」とは違って、ちゃんと美麗な映像で描かれていたのも好印象。作品後半はストーリーの主軸が誘拐事件の方にシフトしたため、見せ場となるカテゴリー7の大嵐の印象が薄くなってしまった感は否めないが、竜巻や嵐を扱った映画としてはある種の究極形とも呼べる作品だった。
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