海底大戦争 「評価 C」
米軍は太平洋の底深くにて、各国の記者を招いて最新鋭潜水艦の御披露目を行っていた。最新鋭潜水艦は当初の予定通り、標的として設けられた潜水艦に追尾魚雷を命中させる。ところがその時、潜水艦のカメラに怪しげな人影が写りこんだのである。その後も近くの海では人間とも魚とも見紛う姿をした怪人が目撃され、その正体が気になった二人の記者、安部とジェニーは、付近の海に潜って調査を行うことにした。やがて二人は海底深くの洞窟を発見し、探索を開始する。すると彼らの前に、例の怪人が群れをなして現れたのだ。二人は瞬く間に捕らえられ、洞窟奥の要塞へと連れて行かれた。科学の最先端を行く装置が至る所に設置されている要塞にて、彼らを出迎えたのは、国際的に権威のある科学者のムーア博士だった。世界中の優秀な科学者たちと協力を結んだ彼は、一切の思考ができない改造兵士を量産することで海底に独裁帝国を築いていたのだ。安部とジェニーはムーア博士から帝国の宣伝を行って欲しいと依頼されるが、正義感の強い二人はそれをきっぱり断ったため、改造手術を施されそうになる。一方その頃地上では、改造人間に連れ去られたハワード教授の行方を追っていた米軍が、海底帝国に向かって最新鋭潜水艦を発進させていた…。
「吸血鬼ゴケミドロ」の佐藤肇監督が66年に生み出した海洋SF映画。本作に登場する改造人間は全身を灰色の鱗に覆われた半魚人のような姿をしており、つぶらな瞳がチャームポイント。彼らは自力で物を考えることができないため、行動は全て要塞の装置によって規定されるのだが、その装置で決められる行動パターンは「FIGHT」「WORK」「STOP」の三種類だけ。そのような大雑把なパターン分けできちんと思った通りの行動をしてくれるのか、不安に感じられてならなかった。
さてこの映画、改造人間が1カットにつき3人ずつしか出てこないほどの低予算作品であるにもかかわらず、一番の見所である潜水艦と海底要塞との対決シーンがきちんと迫力ある出来だったのは良かった。安部とハワード教授とムーア博士が真横のアングルから会話するカットなど、独自の演出が随所に加えられていたのも印象的。ただ中盤の展開が少々もたついており、そこが残念に感じられた。
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