えじき            「評価 D」
1863年、アラバマ州。南軍の金貨を強奪したウィリアムら悪党一味は、メキシコへ向かう途中に一軒の屋敷に立ち寄った。そこは人の気配が無く、周囲の農園には死体がカカシのように磔にされているなど異様な雰囲気が立ち込めていたが、彼らは追っ手から身を隠すためにこの屋敷で一晩を過ごすことにした。ところが日の暮れた頃から、屋敷には亡霊のようなものが次々と現れるようになった。実はこの屋敷ではかつて死体を蘇らせる儀式が行われており、その生贄として殺された者たちが今も悪鬼となって屋敷付近を彷徨っていたのである…。
強盗団が廃墟となった農家に立ち寄ったら、不可解な現象によって怪物化した住民と遭遇する──と、「ヘル・ゴースト 悪魔のスケアクロウ」を彷彿とさせる筋書きのオカルト・ホラー。屋敷に行く過程で次々と不気味なものを発見していく導入部分は良い出来だったが、その後は間延びした演出が鼻につき、どうにも恐怖感を味わうことができなかった。でもこれがスプラッター描写中心の「ヘル・ゴースト」のような内容ならばさして問題ではないのだが、あろうことか本作は「呪怨」チックな亡霊や皮のない怪物の暗躍によって人間の精神が崩壊していく様を描いた、雰囲気で怖がらせるタイプのホラー映画である。それでいて演出が弱いのは何よりも辛く感じられた。また作中で行われる謎解きも伏線の散りばめ方が随分とあからさまで、話への興味を見事なまでに削いでいたのである。
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