ザンガディクス 鮮血の悪夢  「評価 B」
1934年、アマゾンの調査を行っていたジョンソン博士ら探検隊一行は、水晶に入った巨大な胎児を発見した。ザンガディクスと呼ばれるそれは原住民たちの間で諸悪の根源として恐れられており、何でもザンガディクスの呪いを受けた女性は胎内に悪魔の子供を宿すらしい。探検隊は研究のためにその胎児を持ち帰ろうとしたが、輸送の途中で事故が発生し、ザンガディクスの行方は歴史の闇に埋もれてしまった。それから数十年後、ジョンソン博士は人工授精の実験の結果、一人の女性の胎内から7つ子を出産させることに成功した。ところがその子供たちにはザンガディクスの呪いがかけられており、彼らは7歳になった時、精神病院にて16人もの人々を虐殺したのである。それから14年後、14歳の少女エマリーは父がおらず、母親と二人で生活していた。そしてエマリーはここしばらくの間、コンクリートの建物で7人の子供たちに襲われて血まみれになる夢にうなされ続けていたのだ。医者はこの夢を彼女がなかなか初潮を迎えないことによる焦りによるものと判断するが、エマリーはどうしても夢の内容が気になってしょうがなかった。そんなある日のこと、エマリーが母親と一緒に湿地へキャンプに出かけると、夢に出てきたのと全く同じ建物を発見する。更にその日の晩、彼女たちの前に成長した7つ子が現れ、彼女に襲い掛かってきたのである…。
ザンガディクスに付け狙われる母娘の恐怖を描く、アメリカとオランダ合作のホラー映画。様々な伏線を張り巡らせた複雑なストーリーであるが、ケリー教授という第三者を登場させて独自にザンガディクスの秘密を追わせるため、エマリーに襲い来る恐怖を純粋に味わえたのは良かった。しかもクライマックスにはケリー教授も主人公母娘に合流するので、異なる場での話を交互に見せていく構成でありながらも話としての纏まりがちゃんとしたものになっていたのである。またスプラッター描写も充実しており、特にラストの血の大洪水の豪快さ加減は嬉しい限りだった。ただザンガディクスの呪いを受けた7つ子たちが、全身の皮膚がひび割れているというインパクトある外見に反してビックリするぐらいに貧弱だったのが惜しまれる。彼らは7歳の時に16人の大人を虐殺したという凄い経歴を持っておきながら、ただの一般市民である主人公母娘の手で次々と殺されていく。ナタが胴体に刺さったり、電動カッターで頭を串刺しにされたり、椅子で押し出されてビルから転落したり……。いくら彼らにエマリーを殺せない事情があるとは言え、せっかくエマリーを捕まえてもまんまと逃げられる始末。そのあまりものヘナチョコ具合は、それまで散々煽られていたザンガディクスの恐怖がすっかり消え失せてしまうほどだった。
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