鉄人腸詰 「評価 D」
チェンたち警察の第三課は、近頃香港で続発している殺人事件の捜査に当たっていた。懸命な捜査の結果、裏社会を取り仕切る男・カオが捜査線上に浮かび上がってくる。カオの組織は内紛状態にあり、抗争によって絶えず死者が出ていたのである。その後カオの元から逃げ延びてきた男の密告もあり、チェンたちはとうとうカオの組織を一網打尽にすることに成功した。また捜査の途中、チェンは行きつけの料理店の娘であるミシェルと仲良くなり、やがて互いに深く愛し合うようになっていた。ところが彼女の店に勤めているリャンという男は、他の従業員を次々と殺して、その死体を腸詰や餃子にして処分するという卑劣漢だったのだ。ある晩ミシェルはリャンのそんな秘密を知ってしまい、彼に命を狙われる羽目になった…。
「八仙飯店之人肉饅頭」のヒットに肖って日本上陸を果たしたスプラッター映画。原題も「人肉臘腸」となっているのでカニバリズム描写がメインの映画かと思いきや、作中のウェイトの大半を占めているのはむしろカオの組織と警察の戦いの方であり、戦いの合間にリャンの悪事が挿入されるという構成だった。しかもこれら二つの事件は最終的に別個の形で解決するので、映画全体がどうもチグハグな印象になっていたのである。
そしてリャンの事件の扱いがこの程度なものだから、カニバリズムの描写など推し量るべし。調理シーンでは死体を調理台に乗せた次のカットでミンチ肉が出来あがっており、また人肉料理を食べた客達は旨そうに貪り食うことはなく、「なんか変な味」と顔をしかめるだけなので、カニバリズムの嫌らしさなんか微塵と出ていなかったのだ。リャンの最期も情けないの一言だし、作中で頻繁に織り込まれる多種多様な濡れ場ぐらいしか見所のない作品だった。
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