巨大毒蟲の館        「評価 D」
学生寮に住んでいるカミは毒虫の研究に熱意を燃やし、自室にも大量の虫を飼っていた。ところがある晩、逃げ出した虫が性悪女ジョシーの部屋に入り込んだことから彼女の顰蹙を買い、カミの虫たちは殺虫剤によって全部始末される羽目に。悲しみに暮れるカミだったが、まさかこれが恐るべき惨劇の幕開けになると誰が予想しえただろうか。虫の体内に宿っていた謎の寄生生物が殺虫剤の影響で突然変異を起こし、知らず知らずの内に宿主の体を巨大化させていたのだ。こうして誕生した巨大毒蟲たちは寮の住民を次から次から食い殺していき、たちまち寮は殺るか殺られるかの決死圏に。更にジョシーまでもが寄生生物の親玉に取り付かれ、醜悪な毒蟲人間となってカミたちに襲いかかってきた…。
「エイリアン・ゼロ」のスタッフが2005年に発表した、巨大昆虫総進撃パニックホラー。「エイリアン・ゼロ」と同じく冒頭部分で後々の展開を示唆する場面が提示されるが、これが後への期待を膨らませているかと言えばそんなことは無く、むしろ稚拙なCGで描かれた巨大カブトムシの姿のせいで観賞する意欲が早くも減退させられてしまった。なんでこんな構成にしているのか、甚だ疑問である。
本作は「エイリアン・ゼロ」と同様に低予算で、VFXの質も非常に悪い。とは言え作り手側の工夫次第で映画は幾らでも面白くなりそうなものだが、毒蟲たちの退治方法に「水に電気を流して感電させる」が二度も使われる他、怪物化したジョシーは毒蟲を指揮する以外にこれといった特技を持っていないために魅力に乏しかったりと、モンスター映画としてあんまりな点がやたらと目に付いたのは辛かった。ただこの映画、巨大化する虫たちが非常に渋いラインナップで驚かされた。何せ定番中の定番であるクモを除けば、カマキリやサソリやカブトムシやクワガタなど、敢えてメジャーどころを外したとしか思えないような顔ぶれなのである(昆虫パニック映画の常連であるアリやハチが一切登場しない!)。決して出来の良い作品とは言えないが、こんなところにトカゲの姿が一匹一匹異なっていた「エイリアン・ゼロ」と同様の、製作側のモンスターへの拘りを垣間見ることができた。
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