マンハッタン・ベイビー    「評価 D」
考古学者のハッカーは、妻子を連れてエジプトに発掘調査に出かけていた。ところが彼はピラミッドの中を探索していたところ、宝石の放つ怪しい光に目をやられて失明してしまう。また一方で、外で父の帰りを待っていた娘スージーは怪しげな老婆に会い、青い宝石の埋め込まれたペンダントを貰っていた。その後ハッカーは目の検査を受けるために、家族と共にニューヨークの住まいへと帰還する。幸い目は一年もしたら治るそうなので、彼ら一家の生活もすぐに元通りになるはずだった。しかしスージーの受け取ったペンダントには、五千年前に崇拝されていた邪神の霊が込められていたのである。彼女の周りでは怪現象が頻発し、遂には死人まで出るようになってしまった。ペンダントの秘密を知ったハッカーは古道具店のオーナーと協力して、スージーに宿った悪しき霊を追い出そうとするが…。
ルチオ・フルチ監督によるマカロニ・ホラーの一本。「レイダース」っぽい遺跡探索、「ポルターガイスト」っぽい怪現象、「エクソシスト」っぽい除霊描写に「鳥」っぽいクライマックスと、売れ線の要素をありったけ詰め込んだようなコンセプトだが、それにもかかわらず映画は緩慢な展開のせいで非常に退屈なものとなっていた。スージーの身の回りに起きる怪現象──エレベーターの底が抜ける、子供部屋に入った男がエジプトに転移される、スージーが写真に写らないといったものも、本来なら見せ場になるはずなのに、総じて演出が間延びしすぎていて興醒めしてしまう。ただ映画後半の除霊場面において、古道具店のオッサンが血を吐きながらスージーの声で「ママ、ママー!」と叫ぶカットはとにかく強烈で、一度見たら忘れられないインパクトがあった。
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