シャドー・ゾーン           「評価 D」
原発跡地に作られた政府の研究施設で、被験者が実験中に死亡するという事件が発生した。ヒコック大尉が状況検分のために施設に赴くと、そこではバン・フリート博士の独断のもとで、人間の脳を生きたまま切り離して深い眠りの状態になるように操作を加えるという、奇怪な生体実験が行われていた。その異様な光景を目の当たりにしたヒコックは研究所の閉鎖を決めるが、そのとき被験者の体に異変が発生した。極限までの睡眠状態に陥ったことで被験者の潜在意識が異様に活性化し、別次元から“実体を持つ意識”を呼び寄せてしまったのである。意識は周りの人間の思考を読み取っては姿を変え、次々と施設の人間を惨殺していく。ヒコックは博士の助手のエアハートと協力し、何とかこの意識の魔の手から逃れようとするが…。
チャールズ・バンド率いるフルムーン・ピクチャーズによるSFホラー。実体化した意識が人を襲うなんてコンセプトはクローネンバーグ作品を彷彿とさせるが、生憎本作の制作者たちは彼のような新鮮な感覚を持ち合わせていなかった。“実態を持つ意識”が出現してからは「閉鎖された密室で怪物と戦う」というありがちな展開になり、且つ襲撃シーンにおける演出は凡庸。如何にもなモンスター然とした“意識”の真の姿もいただけず、観ていると退屈感を覚えずにはいられない作品だったのだ。
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