古城の亡霊(別題:恐怖) 「評価 C」
フランス軍の青年アンドレは部隊とはぐれて海岸を彷徨っていたところ、エレーヌという名の美女に出会う。アンドレは彼女に惹かれるものの、彼女は忽然として目の前から姿を消してしまった。近辺に住んでいた老婆の使用人が言うには、エレーヌは丘の上に建つ古城の人間らしい。そこでアンドレは城に向かい、主であるレップ男爵と相見えたが、彼の口から出たのは予想だにしないことだった。なんとエレーヌは、今は亡きレップ男爵夫人イルザの亡霊だというのだ。彼女はエリックという男と不貞を働いたことからエリックもろとも男爵に殺され、そのことを恨んで城の周囲をうろつくようになったらしい。そうは説明されてもいまいち釈然としなかったアンドレは、しばらく城の周辺を調べてみることにした。そして老婆の家に立ち寄ったところ、老婆がエレーヌを椅子に座らせて怪しげな催眠術をかけている場を目撃する。実は老婆はエリックの母親で、息子を殺した男爵に復讐すべく、イルザそっくりの外見をした死骸を操っていたのである。ところが男爵自身にもまた秘密があって…。
「忍者と悪女」を撮り終えたロジャー・コーマンが同じセットと出演陣を使って僅か3日で撮りあげたという伝説のゴシックホラー。いくら3日で撮ったとは言え、古城のセットはまんま「忍者と悪女」からの流用で、主人公アンドレを演じる俳優も「忍者と悪女」と同じジャック・ニコルソンを起用しているので、画的には十分見栄えする出来になっている。でもそういった使い回しを行っていない部分、例えば海岸で鷹に襲われるシーンや回転灯を用いた洗脳シーンなどは、案の定並々ならない安っぽさが漂っており、作品の恐怖感を解消する方向にしか作用していなかったのだ。二転三転する脚本は面白いが、結局は即席作の域を出ない作品である。
TOP PAGE