グリード          「評価 C」
ドナウ川沿岸の田舎町、レーゲンスブルク。この町のマンホールから異臭が漂っていたために警察が原因を探ったところ、下水道の中でシカの死体が見つかった。シカは何者かに胴体を食い千切られており、明らかにただ事ではない様子。新任の検死官アンは事件の真相を確かめるべく、ゲイの報道記者ブッチー、元クロコダイル・ハンターのミッチと共に水路の探索を行った。そして彼らの前に現れたのは、ドイツにいるはずのない獰猛な人喰いワニ。ヤミ動物商人キリアックの所有していたワニが川へと逃げ出し、動物や人間を食い散らかしていたのだ。アンたちは団結してワニを退治しようとするが、そんな彼女らの前にワニの捕獲を目論むキリアックたちが立ちはだかった…。
アルバトロス発のワニ映画だが、本作に登場するワニは正直言って魅力に乏しい。ワニが一般人を襲うシーンは1つしかない上にその場面も具体的な描写を省いているし、中盤で行われるワニ捕獲もずいぶんアッサリと成功してしまう。そして作品の山場である決戦シーンでさえも、ミッチのヘタレ具合ばかりクローズアップされてワニが極めてどうでもいい扱いになっていたのである。大きさも常識的なサイズで外見的にもこれといった特徴が無く、ワニが大写しになっているDVDパッケージに惹かれて観賞すると確実に失望を味わうことになるだろう。
でも本作、登場人物たちは魅力的だ。主人公のアンは如何にもパニック映画の主人公的な気質であまり個性的とはいえないが、脇を固めるミッチとブッチーがとんだ曲者。ミッチは娘との関係においてもワニとの戦いにおいても尽く駄目親父ぶりを発揮していて笑わせてくれるし、ブッチーは役立たずなくせに憎めない性質で、平凡な内容の作品に彩りを加えていたのである。
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